知事の記者発表(平成24年6月15日)

公開日 2012年06月20日

更新日 2014年03月31日

知事の記者発表

平成24年6月15日(金曜日) 9時30分から10時14分  第一応接室

6月補正予算の概要
「まるごと高知」の状況
ルネサスエレクトロニクス高知工場
大飯原発の再稼働
伊方原発への対応
ため池の耐震化
オスプレイ飛行訓練
医療施設の耐震化
津波避難対策(1)
久万高原町産廃処分場計画
津波避難対策(2)
6月補正予算
津波避難対策(3)

配布資料
 平成24年6月補正予算の概要 [PDFファイル/6.71MB]
 まるごと高知REPORT VOL.7 [PDFファイル/7.29MB]


6月補正予算の概要

(知事)
 皆様、おはようございます。
 まず冒頭、平成24年度6月補正予算の概要についてお話させていただきます。

(資料1 平成24年6月補正予算の概要により説明)

発表する尾﨑知事
(資料の1ページを示しながら) まず第一に、南海トラフ超巨大地震対策のさらなる拡充・加速化を図るための予算を計上しているところです。
 先日、県としての浸水域、浸水深の新しい想定を発表させていただきました。それに合わせて津波避難計画の策定や見直し作業が必要になってきています。新たに(津波避難)計画が必要となった108地域、さらには、市町村等からの「こうち防災備えちょき隊」に対する派遣要望を当初80回くらいと想定していましたが、全体としては280回くらいあるということが分かってきたところです。こういった新たな想定を出したことに伴い、増加した需要に早急に応えていくため、今回、関連の補正予算を計上しているところです。

 併せて、自主防災組織の資機材購入等のニーズが、非常に大きいことが分かったことから、迅速な対応を図るためにも補正対応が必要であろうかということで、補正予算を7,600万円計上をしております。
 もう一つ、医療施設の耐震化の加速ですが、皆さんご存知のとおり浸水域が拡大したことに伴って、実際に浸水するであろうと思われる医療施設の数が大きく増えました。ということは、入院患者の皆さん方の避難先をより一層、量的に確保しなければならんということが分かってきたところです。

 そういうことを考えますと、医療施設の安全度を県全体として高めていく観点が非常に重要だと思われることから、従来、IS値〔耐震指標〕が0.3未満に対して補助を行っていく姿勢でしたが、これを0.6未満まで拡充したいと考えているところです。完全に安全だと言える病床の数をできるだけ増やしていくことにより、浸水による入院患者の避難先を十分に確保できるよう取り組みを進めていきたいと考えています。

 また、警察施設の問題では、それぞれの警察署や関連のいろんな施設について、災害対応の強化を図ってきているところですが、非常に警察署から遠くて、かつ一定独立して災害時の活動拠点機能を発揮すべき交番として、また、併せて住民の避難先としての機能も期待される交番として、三里交番の建て替えを急ぎたいと考えているところです。
 これら一連のものが、南海トラフ超巨大地震対策に関連する予算になります。

 あと、もう一つが、産業振興計画関係ですが、企業立地、さらに企業の設備投資関係を促進していきたいと考えています。
 中小企業設備投資促進事業費補助金については、この4月から始めた制度ですが、32件ぐらいの問い合わせをいただいております。そして、その中で当初想定してなかった、年度を越えて設備投資をしていく事案が数件あることが分かってきました。それを考えますと、債務負担行為を補正で追加しておいた方がよいのではないかということです。また、企業誘致関係の補助金についても、立地予定企業が増えてきておりますので、債務負担行為をさらに追加することが適当であると考えています。

(資料の2ページを示しながら) 補正予算の総額は1億1,900万円になっておりまして、6月の補正予算としては比較的小型です。津波浸水についての新しい想定を出した割には、補正予算の規模が小さいのではないかというご指摘もあろうかと思いますが、要するに、当初予算の段階で(津波浸水の)新しい想定を出すことを想定していましたので、これらに対応できるものということを踏まえ、一定の予算を計上していました。
 対前年度比で61億円増の169億円の当初予算を、そもそも計上していたところでして、ほとんどのことは今回、新しい想定を出した後においても当初予算で対応できると考えています。

 しかしながら、津波避難計画を策定しなければならない地域が108地域増えたことですとか、病院についてもう一段(耐震化の取り組みを)加速した方がいいですとか、当初予算でも対応できない部分を今すぐに対応した方がいいものについて、今回、6月補正予算に計上したということです。新想定を受けて、すぐさま対応できる点についてきめ細かく対応しようとしたのが、今回の6月補正予算になります。

 併せて、9月補正に向け、現在検討していることとして、総合防災拠点の整備や避難方法の選択肢を増やす取り組みの推進、さらに、民活型で震災対策を進めていくための方策、医療機関や社会福祉施設の地震津波対策の加速化、道路利用者の避難誘導対策の実施といった点などです。これらは、南海地震対策推進本部会議で議論し、新たな論点として浮上してきたもので、こういうものについて9月補正に向けて新しい施策を展開できないか、今後、検討を重ねていきたいと考えているところです。

(資料の3ページを示しながら) 6月補正予算後の全体像ですが、こちらにもありますように、県の実質的な借金は5,097億円となっており、引き続き漸減〔だんだん減ってくる〕傾向は維持しています。普通建設事業費はこちらです。

(資料の4ページを示しながら) 先ほど申し上げました南海地震対策について、こちらで全体の概要をまとめさせていただいていますので、少しおさらい的になりますがお話させていただきます。
 3月31日に国が推計を公表しました。それに合わせて5月10日に津波浸水予測を県として出しました。今後は、国の方で6月末ごろに人的・物的被害の想定、さらには10メートルメッシュでの津波被害の想定を出してくると予想されています。
 また、国が当面実施すべき対策を夏ごろには取りまとめていくことが想定されています。秋ごろには、経済被害なども含めた、より本格的な被害想定を国の方で出してくると想定されています。
 こういう一連のことを踏まえて、第2弾の津波浸水予測をこの秋ごろ、県で発表したいと考えています。それに合わせて最終的に25年度予算に向けた対応を行っていくことになるわけです。

 5月に発表しました第1弾の県の想定を受けて、現在どういう対応をしてきているか、一連のものを並べておりますけれども、まず、避難対策で言えば、津波避難計画の策定、見直し作業の加速化への取り組み、さらには、避難方法の選択肢を増やす取り組みを行っています。あとは「こうち防災備えちょき隊」の皆さんと共に、自主防災組織の活性化に向けて後押しを是非していきたいと思います。さらに、防災教育の徹底などの取り組みを行っています。このうち補正で対応しているのが、津波避難計画の見直しの加速化と自主防災組織の支援です。

 次に、地域の特性や課題を踏まえた対応ですが、一連の耐震化の取り組みを進めていきます。その中でも特に医療施設の耐震化については、今回加速することになります。公共土木施設の耐震・津波対策、さらには燃料タンク等の現状把握の調査を行っています。併せて、地域の特性に合わせた支援として、「こうち防災備えちょき隊」による人的支援を実施しています。

 あと、これは非常に重要なポイントですが、災害時要援護者支援として、医療機関及び社会福祉施設における地震・津波対策の加速化の取り組み、地域での住民の皆様方に対する災害時要援護者避難支援プランの策定の取り組みを進めています。また、初動活動・応急対策のための一連の取り組みも進めていますが、特に緊急輸送道路上の橋りょう耐震化の取り組みの推進や(市町村)災害廃棄物処理計画作成の取り組みなどの支援を行っていきます。

 さらに、第2弾の新しい想定を秋に発表しましたら、その時に再度、津波避難計画の見直しを行っていく必要があろうかと考えています。引き続き、避難方法の選択肢を増やす取り組みも進めていきますが、秋ごろには、特に津波避難シェルターなどの問題について、一定のめどを立てていけるよう作業を進めています。
 他方、高台移転や現地高層化の取り組みについては、国の方で制度改正をしてもらう必要がある事項があろうかと考えており、現在、政策提言の準備をしていますけれども、引き続き強く国に訴えていくことが非常に重要かと考えているところです。

 地域の特性や課題を踏まえた対応と書いていますけれども、一連のものがあります。中でも民間企業等による震災対策を加速化するための取り組みを進めていけないかということです。さらには、公共土木施設のいろんなかたちでの津波対策なども本格化していくことが非常に重要かと考えています。既に24年度当初予算では、例えば海岸堤防の取り組みなどは、高知県関係への国の予算も従前の3倍くらいにしていただき、最大限加速して取り組みを進めていますが、さらに進めていかなければなりません。25年度以降についてもこういうかたちで取り組みを進めていきます。
 それぞれ、より詳しいことはこちらの方に書いてありますので、また後で是非ご覧いただければと考えています。

(資料の9ページを示しながら) あと、地震の関係で重要なことですが、南海トラフ超巨大地震対策を本格的に進めていくことが必要なため、南海トラフ超巨大地震特別措置法(仮称)の制定について、今、国に対して強く訴えているところです。また、自民党さん、公明党さん、民主党さんに対しても、この法律の制定について強く訴えを進めているところですけれども、今月、各党でいろんな動きがあるんじゃないかと考えているところで、我々としても、引き続きしっかりと働きかけ、訴えを続けていきたいと思っています。

(資料の11ページを示しながら) 医療機関の災害対策については、先ほど簡単に申し上げましたけれども、県内医療機関の約半数が今回の浸水想定によると何らかの被害を受けると想定されています。平成17年の予測ですと79施設7,232床という予想でしたが、今回の想定ですと115施設10,118床が被害を受けると想定されています。こちらに対して耐震化の促進をしっかり図っていくことが重要です。

 もう一つは、医療機関の浸水対策の促進ということで先ほども申し上げましたように、患者避難の受け皿をより拡大する観点からも、一般病院を含む医療施設全体の防災対策を促進する必要があろうかと考えています。そういう観点からもIS値をO.6未満まで補助の対象を拡大し、医療施設全体の安全性向上につなげていきたいと考えています。
 医療関係全体については、実際に一連の取り組みを進めてきていますが、特にすぐ対応すべきこととして、今年3月に見直しを行った災害時医療救護計画の説明会を県下各地で実施していく中で、新想定の周知も図っています。また、災害拠点病院となっている所が浸水する場合がありますので、その代替病院となり得るようなかたちでの支援を行っていかなければならないと考えています。

 さらに、災害時に医療スタッフが相互に支援し合えるような体制を作っていく必要があろうということで準備を進めているところです。また、SCU〔航空搬送拠点臨時医療施設〕の整備を行う上で、総合防災拠点と連携して進めていくことが重要かと思っています。こうした一連の医療救護の観点で今、準備を進めようとしています。

 2番目に、先ほど来申し上げております病院の耐震化を加速化する取り組みを6月補正で対応するよう進めています。
 そして3番目ですが、病院も含めた医療機関そのものについて災害対応力を調査して、今後の災害対応力を高めていくための一連の支援を行っていく必要があろうかと考えています。

 現在、「医療施設の災害対応のポイント」を作成しているところであり、各病院の皆さんに自己点検を是非していただきたいと考えています。その自己点検により調査票を回収した後で特別のヒアリングなどをさせていただきながら、病院全体として災害対策をどうしていくか、もう一段災害対応力を高めるためにはどういうことをしないといけないか、その指針を県としてとりまとめていきたいと考えています。この指針に沿って、個々の医療施設の災害対策への支援を行っていきたいと考えているところです。

 例えば、災害対策の専門家を各医療施設に派遣するという支援があります。また、浸水対策を行っていくための補助制度を県として考えていくことができないだろうか。これらの検討を行っていきたいと考えているところで、できれば9月補正に向けて議論を深めたいと考えています。
 そして、より中長期的に対応すべきことで言えば、耐震化を加速化していくための既存制度を、より一層拡充するよう政策提言で求めていきます。さらには、医療機関の移転について、今、高台移転全般を訴えているところですが、引き続き進めていかなければなりません。さらには、広域避難の仕組みの検討も進めていかなければならないと考えています。

 新想定を踏まえて、医療機関について一連の取り組みを一斉に進めているわけであり、そのうち補正予算による対応が必要なのは、2の部分となります。
 決して補正予算で計上していることしかやってないということではなく、これら全般を進めていく中で補正対応が必要なのはこの部分であるという点は誤解しないでください。
 あとは、それぞれ主要な事業の概要ですので、またご覧いただければと思います。

(資料の14ページを示しながら) 関連でお伝えしたいのですけども、(今夏の)節電対策です。従前申し上げておりますように、県はピークカット対策として節電目標を2010年の夏季対比で10%の削減を行っていきます。さらに使用電力量を全体の7%削減を目指し、県民の皆様や市町村への協力要請などを徹底していきたいと考えているところです。
 併せて、この節電を進めてためには、単に掛け声とかだけではなく、節電を進めていく県内事業者さんへの後押しをするようなサポート施策を行っていきたいと考えています。
 (具体的には)産業振興センター等の関係機関と連携して取り組み、節電対策に伴う追加経費等に対する融資を行う制度を設けていきたいと考えています。

 一つは、節電による売り上げの減少を懸念される声がアンケート調査によると大きかったことにより、既存の「安心実現のための高知県緊急融資」で対応していこうと思います。
 ただ、節電に資する設備等の導入を要する事業者さんがおられると思っていますので、現在、非常に低利の「南海地震対策融資」というのがありますが、こちらを拡充して「南海地震・節電対策融資」として、節電を実施される方々に非常に有利な融資制度をご利用いただいて、節電の設備投資を進めていただくことを考えているところです。以下、こういうかたちでの支援も実施していきたいと考えています。
 これらの支援制度は、即日対応できますので、すぐさまお使いいただけるものとして、実施していきたいと考えているところです。


「まるごと高知」の状況

(知事)

(資料2 まるごと高知REPORTにより説明)


 お手元に「まるごと高知リポート」をお配りさせていただいています。これは、定期的に発表させていただいているものですけれども、まるごと高知の2011年の一連の取り組みを総括し、さらに4月、5月の取り組みをご説明させていただいています。
 1ページをご覧いただくと、こちらにありますように、2011年の総括として県内事業者の営業活動の支援について、例えば成約件数1,327件というかたちで非常に拡大したことをご説明させていただいています。商品の磨き上げなどのそれぞれの回数などについても書かせていただいています。さらに、アンテナショップの運営そのものについての説明もさせていただいています。

 売り上げについては目標達成率95.1%でした。経常利益については従前よりご説明していますが、目標に比べて1,600万円くらい少ない金額になっています。
 他方、高知県情報の発信では(広告効果が)23.3億円ということですから、非常に多額の金額換算になっていますけれども、情報発信機能が大いに発揮できたんじゃないかなと考えているところです。
 あと、一連のそれぞれの取り組みについて、非常にきめ細かくディスクロージャー〔活動内容や活動成果の開示〕させていただいていますので、また後でご覧いただきたいと思います。


ルネサスエレクトロニクス高知工場

(池:高知新聞記者)
 ルネサスエレクトロニクス(株式会社)が、経営再建のために国内の19工場の半分以上を売却または閉鎖を検討しているという情報があるんですが、県に入っている高知工場に関する最新の情報というのは何かありますか。

(知事)
 今、調べている最中です。


大飯原発の再稼働

(福井:テレビ高知記者)
 先だっての大飯原発の再稼動に関して、野田総理が国民への理解ということで会見を開かれたと思うんですけども、それについての知事の評価というのはいかがでしょうか。

(知事)発表する尾﨑知事
 今回の大飯(原発)の問題については、15%も電力が足りなくなる可能性があることに伴うリスクやエネルギーの安全保障の観点なども考えて、やむを得ず再稼動の容認に至ったと理解しているところです。
 15%(の電力不足)になると、例えば、病院において日々の人々の命を守れるのかという観点からしても、やむを得ない判断であったとは思いますが、ただ、この点について、2つ強く申し上げたいと思っていることがあります。

 それは、今回の大飯(原発)が再稼働したことの位置付けです。まず、第一点目は、私が従前より申し上げておりますように、原発については、やはり徐々に依存度を減らしていく方向性をしっかり確保していくことが、非常に大事だと思っています。徐々に依存度を減らしていく過程において、どうしてもやむを得ず原発を稼動せざるを得ない時期も出てくるでしょう。それを、現実問題として受け入れざるを得ないところなのかもしれません。むしろ電気がないことによって、命が危なくなることもあるわけですから、やむを得ないところもあろうかと思います。

 ただ、そうだからといって、徐々に依存度を減らしていく道筋を明確にせずに(再稼働を)やってしまうことではいけないんだろうと思っています。(国においては)新しいエネルギー対策大綱の見直しを行っていくことになっていますが、この見直しに向けてその姿勢をはっきりと明示していくことを強く政府には求めたいと思います。
 併せて、(原発の依存度を減らすことを)実現していくためには、節電技術や蓄電技術などいろんな科学技術の開発を進めていかないといけません。そのための研究開発を、国を挙げて取り組んでいく必要があるでしょうし、また、再生可能エネルギーの導入をサポートするための施策である固定価格買取制度など、依存度を減らしていくための具体的な施策を、一連のパッケージとしてしっかり講じていくことが必要かと思います。

 第二点目ですが、今回の安全基準です。総理もはっきり暫定的だと言っているわけです。暫定的であれば、早急に本格的な基準を策定すべきだと思います。その本格的な基準に照らしてみて、大飯(原発)が大丈夫なのかどうかを再度点検することが非常に重要な点ではないでしょうか。それでよければ(再稼働は)よいでしょうが、それでだめだとなれば、その時にはすぐ止めるという判断をすべきではないかと思います。
 国会においては、(原子力)規制庁の(原子力規制委員会設置)法案が、何とか決まりそうで、本格的な基準が作れる体制が何とか整いつつあるのかなと思っているんです。とにかく急いで(原子力全体の)の対策作りを進めていただきたいと思います。


伊方原発への対応

(福井:テレビ高知記者)
 今おっしゃった2点のところをしっかりできるかどうかということは、伊方原発の再稼動に関して、今後、県の判断に影響を及ぼすことになるんでしょうか。

(知事)
 (先ほど申し上げた2点は)本当に大飯(原発)の再稼動を受け、国に対して強く訴えていかなければならないことなんですけど、他方で、やはり伊方(原発)について判断するための一つの基礎になるのは間違いないことだと思うんです。
 ただ、「やはり大飯は大飯、伊方は伊方」だと思うんです。それぞれの特性がありますので、伊方(原発)の特性を踏まえた対応をしていくことが必要だと思っていまして、その点からいけば、私は従来より3条件を言っていますけれども、その3条件をしっかり満たすべきだという考え方は変わりません。


ため池の耐震化

(池:高知新聞記者)
 ため池の耐震化に関することで、当初、県の対応が耐震化を検討「しない」から「しよう」ということになり、またその会合ついても「非公開」から「公開」になりということで、かなりちぐはぐさが否めないと思うんですが、この辺りの経過に関して知事のご説明をいただきたいのと、今後この問題についてどう取り組むかということを改めてお聞きします。

(知事)
 ため池について、県としてしっかり耐震化の取り組みを進めていく方針は変わらないものだと思っています。
 しかしながら、その部局と現場との間での意思疎通が若干足りないところがあったんじゃないかという点。さらには、意見交換会を非公開にしたことについては、私は正直、判断ミスだと思っているところです。やはり意思疎通が十分でなかった点、意思の統一がとれてなかった点、さらには非公開にするなどの判断ミスがあったという点について、一連の混乱を招いたことを、私自身としての徹底が足りなかったと考えているところであり、本当に申し訳なく思っています。

 昨日、政策調整会議〔庁内の副部長級の会議〕を開催しまして、もう一度、南海地震対策については例外なくしっかり取り組んでいくことを徹底するとともに、県政改革の趣旨をしっかり踏まえて、透明な県政の確保がいかに重要かということを再度各部局に徹底したところです。今後、こういうことのないように取り組みをしっかり進めていきたいと考えています。


オスプレイ飛行訓練

(井上:高知新聞記者)
 オスプレイ〔垂直離着陸輸送機〕の話になりますけども、四国にかかるオレンジルートが飛行訓練ルートとなっていることが明らかになったんですが、それについてオスプレイの配備、また、その飛行訓練が四国の上空にかかることに関して、知事の考えをお伺いしたいんですが。

(知事)
 昨日来、危機管理部において情報収集をしているんですけれども、正直なところ、まだはっきりしたことが分かってないようです。引き続き、国に対してしっかり説明を求めていきたいと思っていますけれども、やはり、この問題については次の2点を非常に懸念しております。

 1点目は、まだはっきりしたことは分かっていないんですけれども、やはりオレンジルート上での訓練ということで、これまでにも早明浦ダムへの墜落事故も起こしましたし、できる限り減らしてもらいたいと常に国に対して訴えてきましたが、これがさらに増えてしまうんだろうかという懸念です。

 2点目は、そもそもオスプレイという機体自体、安全性が確保されてるんだろうかということです。安全性が確保されてない機体で訓練されたらたまりません。やはりこの点についての懸念がありますので、国に対してしっかりと我々の考えを伝えながら、やりとりを続けていきたいと思います。まずは、情報収集をしなければいけないと思っているところです。


医療施設の耐震化

(天野:朝日新聞記者)
 病院の耐震化に関してですけども、(耐震工事は新耐震基準と同様に)震度7には耐えられるんですか。

(知事)
 基本的には、震度7に耐えられるように耐震化を進めていくことになります。
 (耐えられるといっても)例えば、崩壊しないという程度なのか、それともそのまま使えるレベルなのか。(県有建築物の場合は安全性の目標値が)1、2、3と(3分類)ありますが、病院は基本的に一番厳しい基準となっていたんじゃなかったかと思います。


津波避難対策(1)

(大山:高知新聞記者)
 津波避難対策推進事業費補助金の中で、津波避難計画策定のための予算を組まれて、今年度中に100%(の計画策定を)目指し、534地域のうち大半で策定されると思うんです。その数字の捉え方として、目標100%には足りてないですけど、数字としては意外と多いのかなと思いますし、その辺りのご判断をどうされているのかという感想を教えていただけますか。

(知事)
 「とにかく急がないといけない」の一言に尽きると思っています。これは急がないといけないということとともに、もう一つ、いろんなことを考慮して判断していかないといけないという側面もあると思っているんです。専門的な判断が非常に必要かと思っていますし、(津波避難計画を)作っていき、さらにそれを見直していく、何回もらせん階段状に見直しをかけていくことも必要だろうと考えています。

 実際に計画を作っても、さらに防災訓練などを行い、その結果を踏まえてさらに見直していくことも必要になってくるんじゃないのかなと思っています。とにかく、一定の目標に向けて全力で取り組みを進めていくとともに、1回作って終わりではなく、不断の見直しをかけていく仕組みを作っていかなければいけないと思います。

(大山:高知新聞記者)
 (津波避難計画の策定率が)100%いかなかったと捉えられるのか、96%いったと捉えられるのか(どちらでしょうか)。

(知事)
 それは108地域も増えましたので、96%いったということです。ただ、どちらにしろ100%にしないといけないので、大急ぎでやっていきます。もう一つは、1回やって終わりではなく、何回も見直しをかけてさらに訓練をやって、また見直しをかけていくことをつなげていかないといけないと思います。

(大山:高知新聞記者)
 市町村の6月補正で、津波避難対策に対する予算がかなり組まれて、額としてもだいぶ上がってきていると思うんです。県として4月の段階で新しい支援の仕組みを作って促進を図っている途中だと思うんですけど、上がっている金額、現状はどれぐらいか、県の方で把握されているかどうかは分からないんですけども、数字の捉え方、予算規模、上がってきている事業のスケール感として、知事がどう捉えられているのかを(お伺いします)。

(知事)
 大体把握していますけど、結構大きい金額だと思っています。津波避難対策等加速化臨時交付金(仮称:平成25年度から開始)の対象事業で言えば76.9億円程度になっています。結構大きい金額ですけど、これはやっぱりやらなければならない整備だと思いますので、しっかり対応していきたいと思います。
 正直、(市町村から)こういうかたちでたくさん出てくるようになって良かったなと思っています。できるだけ早くたくさん出てきてもらいたいという思いで、この交付金制度、いわゆる市町村負担が0%になるような制度を設けたわけでして、是非、今後も加速化を続けていってもらいたいと思います。


久万高原町産廃処分場計画

(中田:高知民報記者)
 (愛媛県の)久万高原町の産廃計画について、下流域の県内市町村から反対の声が上がっていますけれども、ご見解をお願いします。

(知事)
 こちらも非常に心配しているところです。ただ、(愛媛県の)久万高原町の町長さんは、この問題について反対だとおっしゃっていると伺っていますので、やや安心感があります。
 この問題は、愛媛県の中の愛媛県の問題と捉えるんじゃなくて、やっぱり高知県にも大きな影響を与える問題だとして、愛媛県側の皆様方にも本県の意見をよく聞いていただきたいと思います。

 住民の皆さんの声を聞き、それから我々とのコミュニケーションをしっかりとっていただきながら取り組みを進めていっていただく。取り組みを進めていっていただくというのは、やるということじゃなくて、止めるという決断をしていただくことも必要になってくるかもしれませんが、しっかり我々の声を聞いていただきたいということが私の思いです。
 今、そうしていただいているので、その点は少し安心しているところです。

(中田:高知民報記者)
 情報交換とかは(行うのですか)。

(知事)
 まだまだこれからでしょう。我々もいろいろ懸念していますけど、やっぱりいろんなファクター〔要因・要素〕も考えていかないといけないところがあると思いますので、おっしゃったとおり、よくコミュニケーションすることが重要です。

(中田:高知民報記者)
 仁淀川に県がエコサイクル(センター)をやっているじゃないかという議論も向こうにはあるんですけども。

(知事)
 エコサイクル(センター)の問題については、徹底した安全対策を講じてやっています。歴代副知事が理事長になって、徹底して安全対策を講じたうえでの施設でやっているわけです。それが愛媛県でやられるものがどうなるのかということについては、これからの話で分からないわけですから、そういうことも含めて、よくよく我々と話し合いをさせていただくことが重要じゃないかなと思っています。


津波避難対策(2)

(天野:朝日新聞記者)
 先ほどの(緊急防災・減災事業債を活用した)交付金のことなんですけど、「市町村の負担が実質ゼロ」という言い方をされるじゃないですか。ただ、ハード事業に事業債というのは使われるわけですね。その時の残りの市町村の3割負担についての相当分を出すということだとは思うんですけど、ハード事業に充当するようなかたちで使っちゃいけないような説明も一方であるわけですよね。
 例えば、津波避難タワーを作るとして、70万円を国の交付税措置がされるとしてですね、残り30万円を県から市町村に対して相当分を払うわけですけど、ところが、それは津波避難タワーにできるだけ使わないでくれというようなですね。そこについて何か説明が(欲しいのですが)。

(鷲頭財政課長)
 直接、その交付金をハード事業に入れて特定財源として控除されると、その残りの分についてしか起債が出来ないという意味だと思います。今回は、(市町村が)全部単独で起債を行い、整備していただくと(交付税措置された70%分を除いた)残りの30%相当分について、一括して後年度に(県から交付金として)入れるかたちになって、その使い方は、他の防災対策事業に市町村が自由に使っていただけることなので、決して財源の30%相当分についてハード対策に使ってはいけないということを言っているわけではありません。

(知事)
 (市町村が)必ず起債をしてくださいということです。市町村の実質負担0%という言い方について、確かに施設の整備としては0%ですが、施設ができればそれでいいのかというと、それを実際に使いこなしていくための一連のよりきめ細かい対応が、必要になってくると思うんです。

 むしろ、そういうことは市町村の方でいろいろ考えて、やっていただければという思いがこもっているんです。例えば、上に逃げて行った時の避難小屋などは、人が十分長時間いられるようなものにするために、やはりいろんなきめ細かな対応が必要だと思うんです。避難場所に居続けなければならない時の環境対策とか、一定時間、食糧備蓄とかも必要になってくるじゃないですか。そういう点などについては、今後、市町村の方できめ細かな対応をしっかりお願いしますということも確かにセットなので、ある意味、県と市町村と合同で対応すべきことであるのは間違いありません。

 ただ、とにかく避難スペースを確保するためのいろんな施設整備は、これから避難路などというかたちで必要になってきますけど、その建設をとにかく急がなければならんという思いで、今回、その部分については市町村の負担がゼロになるような制度を設けてやったところ、たくさんお話が出て来たということです。6月補正予算でもたくさんいろんな対応をしてくださるようになってきたので、我々としては、初期の交付金の目的が、一定果たされつつあるのかなと考えています。


6月補正予算

(岩崎:高知さんさんテレビ記者)
 6月補正で、知事が先ほど、比較的小型とおっしゃいましたけど、その補正に込めた思いを改めて伺いたいんですけど。

(知事)
 今回の想定を受けまして、様々な対策を実施しているところです。多くのものは24年度の当初予算で大体想像がついていましたので、それで対応できているんですけれども、それで対応できない部分についてきめ細かく加速化を図った予算だと考えています。


津波避難対策(3)

(小坂:毎日新聞記者)
 (資料1の2ページ目に)道路利用者の避難誘導対策の実施についてとあるんですけど、これまでの津波避難については、県としてはどういったスタンスなんでしょうか。

(知事)
 今回、東日本大震災の例を踏まえて国の方でもいろんな研究をしておられるので、車で避難するかどうかについては、その研究結果を待ちたいと思います。
 ですが、高知県の場合は、沿岸部を通る道が多いため、実はその沿岸部の道路にたくさんの県民の皆さんや住民の皆さんの車が走っています。海岸すぐの所を車で走っている時に地震が発生した際、どうやって逃げるのか、そのための対策を考えていかなきゃならんだろうということが、こちらに書いてあります。

(小坂:毎日新聞記者)
 車を置いて走って逃げるということも含めて(検討するのですか)。

(知事)
 そうです。車に乗っている人が、運転している途中で地震に遭い、すぐ避難しないといけない時に、どの避難場所に、例えば何百m先にどういう避難場所があって、そこへ逃げればいいのかがすぐ分かるような仕組みを考えないといけないんじゃないかということです。沿岸部すぐ海沿いの道にたくさんの方がいると思っていまして、そのための避難誘導対策を本格的に考える必要があります。

(小坂:毎日新聞記者)
 そのまま車で高台に逃げるというケースも含めるわけですか。

(知事)
 車ですぐに逃げて行けるような所もあるかもしれません。ただ、現実問題としては、非常に慌てている時の運転技能の問題などもあったりするでしょうから、どうあるのが一番いいのかよく考えないといけません。それと、この問題は、国道55号や56号沿いである場合が結構多いので、国ともよくコミュニケーションしながらやらないといけない話かなと思っています。

(小坂:毎日新聞記者)
 (5月29日に「対話と実行行脚」が開催された際)清水保育所に知事も行かれたと思うんですけど、県内に沿岸部の保育所で高台移転を検討しているところが結構あるんですけども、これから高台を造成してやらなきゃいけないという所も結構ある中で、県としての財政支援の考え方を(お伺いします)。

(知事)
 高台移転の問題は、国に対してしっかり財政支援をしてくれるよう政策提言をしていかないといけないと思うんです。ただ、ご指摘のように、確かに保育園とか幼稚園とか、緊急性の高い施設はあると思うんです。そういう所については、やっぱり一定の対策を考えないといけないんじゃないかということで、今、教育長とも話をしているところです。
 私もこの間、避難訓練を一緒にさせてもらって、0歳児とか1歳児を両手に抱えて、保育士の方が急な坂道を登っているんですけど、これは大変だなと思いました。

 だから、そもそも安全な所に(建てる)という対策を進めなきゃならんじゃないかなと思います。
 やはり、そういうことを国にしっかり訴えて、国から後押しが出来るようになることが一番理想です。ただ、それは一定時間がかかりますので、県としてとりあえずどういうことができるだろうかということを考えているところです。もう少しお待ちいただければと思います。

 

(司会)
 それでは以上をもちまして記者会見を終了します。

 

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