平成27年6月19日  知事の記者発表

公開日 2022年06月29日

平成27年6月補正予算(案)の概要
「まるごと高知」の概要
南海トラフ地震対策
高齢者の地方移住
地震火災対策
再生可能エネルギー
広域観光周遊ルート
2期目の総括と次期知事選
高レベル核廃棄物処理施設
安保法制
地方交付税見直し
選挙制度改革

配布資料
資料1:平成27年6月補正予算(案)の概要[PDF:6MB]
資料2:まるごと高知レポートVOL.19[PDF:4MB]

【動画】平成27年6月高知県議会定例会提出予定案件概要

【動画】記者との質疑応答

 

平成27年6月補正予算(案)の概要

(知事)
 県議会6月定例会を6月26日に招集をいたします。今回提出する議案は予算案では平成27年度一般会計補正予算1件、また、条例その他議案が17件、報告議案が3件、合計21件となります。この補正予算概要について、ご説明いたします。

(資料1「平成27年6月補正予算(案)の概要」により説明)
(資料の1ページを示しながら)
 今回の補正予算は、大きく言いますと柱は六つとなります。一つは、産業振興計画の推進関係であり、今回は特に林業、紙産業関係の補正予算を計上いたしております。林業においては原木生産の拡大を図るための担い手育成が非常に大きな課題となっておりますことから、林業学校の整備を行うための基本設計等に要する経費を計上しております。当初予算で、新校舎整備の検討をスタートいたしまして、その後の検討の進捗状況に合わせて、補正計上するものです。また、高性能林業機械の導入につきましては、時機を得た形で計上します。
 また、紙産業のさらなる振興についてですが、産業振興計画の改定に合わせて、当初予算に紙産業振興関連予算を計上していましたが、国の新たな事業を獲得できたこともあり、より本格的な先端分野、本県に相応しい分野に向けての進出を図るものです。
また、南海トラフ地震対策については、命を守るための対策の横展開ということで、地震火災対策に本格的に取り組むこととなります。そのための関連経費です。
 日本一の健康長寿県構想関連については、あったかふれあいセンターの機能を強化し、高知型福祉の機能強化を図りたいと考えていますので、介護保険制度の改正などをうまく活用していきたいと考えています。
 教育の充実関係については、専修学校に通う子どもたちに対する授業料負担の軽減策を支援します。
 そして、中山間対策については、情報通信基盤整備として、大川村の超高速ブロードバンドの整備を支援します。そして、鳥獣被害対策の取組などで予算計上をしているものです。
(資料の2ページを示しながら)
 6月補正予算の全体像ですが、金額は2億9,642万4,000円でありまして、6月の補正予算としては比較的規模が小さな予算だと考えております。県債残高は、補正予算による増が微増に留まっており、残高の推移(臨時財政対策債を除く)は引き続き減少傾向にあることに変わりはありません。普通建設事業費については、約1億円程度の追加で、当初予算で1,000億円をもともと超過しておりましたが、1,001億円になります。

(資料の3ページを示しながら)
 林業学校の整備についてですが、基礎課程及び短期課程をこの4月に開講しましたが、今後、新たに専攻課程に3コースを設置してより多様な林業ニーズに応えていきたいと考えています。この専攻課程は、森林技術コース、森林管理コース、森林活用コースの3コースです。森林技術コースは、林業を行っていく上での高度な技術を持った人材を育成していく取組、そして、森林管理コースは、長期的な視野で森林全体の経営ができる人材を育てるコースです。また、森林活用コースは、特に加工業等の関連人材の育成を図るコースとして設置したいと考えています。
 このように、基礎的な技術を学び即戦力となる人材を育成するのみならず、将来の高知県及び全国の林業を担う人材を本格的に育成していく学校として、この林業学校を開校したいと考えています。併せて、現在林業に従事されている方にもスキルアップを図っていただくために、短期課程にはさまざまなコースも設けており、これは既に始動している状況です。
 今後、校舎を学校のコース設定に相応しい形で整備することを予定しており、CLTを活用した2階建ての建物を建設したいと考えております。当初は平成29年4月に開校したいと思っていましたが、実際に設計の手順等を検討してみますと、校舎の完成が約半年遅れるため、開校時期が1年遅れの平成30年4月になってしまいます。これはやむを得ないことだと考えておりますので、その分、基礎課程にしても短期課程にしても、当初の想定以上に、定員も多く受け入れるなど、充実させておりますので、当面はその方向で準備したいと考えています。その関連の予算を計上しています。

(資料の4ページを示しながら)
 紙産業のさらなる振興についてですが、県立紙産業技術センターにセルロースナノファイバーの製造装置を導入するものです。これを導入することで、本県におけるセルロースナノファイバー産業の育成を図っていく端緒にしていきたいと考えています。
 今後の本県の紙産業振興のあり方について、「高知県紙産業の在り方検討会」において、いろいろとご議論をいただきました。検討会では、高付加価値製品の開発が非常に大事だろうということ、また有望素材の利用化研究を推進する必要もあるというご意見がでました。低付加価値大ロットの商品を製造して販売するよりも、小ロットで付加価値の高いものを目指していくべきということです。
 その中で、どの分野が一番相応しいか検討も重ね、このセルロースナノファイバーが一番本県の紙産業に適しているということです。多品種小ロット生産に適しており、高付加価値製品の開発につながることが期待できるということです。更に、多様な用途が想定され、強度が非常に強くて環境にも優しい、それから、熱にも強いことなどがあり、開発が期待される製品としておむつ関係、食品の包装紙、電子部材、医療系材料もありますし、将来は自動車の材料として使われる可能性もあります。本県としては、ちょうどいい分野と考えております。
 高知県立紙産業技術センターにセルロースナノファイバー製造装置を導入し、併せて、兵庫、そして愛媛のそれぞれの技術センターと協力し、それぞれの特徴を生かしていきながら、全体として本県におけるセルロースナノファイバー産業の育成に資する取組を進めたいと考えております。これは全額国費で対応することとなります。

(資料の5ページを示しながら)
 高知県地震火災対策指針ですが、南海トラフ地震から命を守るための対策については、今までは津波対策を最重点事項として取組を進めてきました。併せて、揺れ対策は全ての基本として、今も大いに力を入れていますが、さらにその横展開として地震火災対策に本格的に踏み込んでいくことになります。これまでの間、検討会を設置し、四万十市の中村地区をモデルとして取り上げ、地震火災対策はどうあるべきかさまざまな検討を重ねてきたところです。この地震火災対策は、街路整備など建物の不燃化のような形の長期的な対策が基本ですが、今すぐできることもたくさんあります。
 この長期的な観点に立った対策を進めながら、今すぐ行える対策も速やかに実施するという観点でこの対策指針をとりまとめ、昨日発表しました。この中でのポイントは、三つあり、一つは地震火災対策を重点的に推進する地区を位置付け、発表しました。特にこの地区については、地震火災対策の取組を重点的に進めていくことになります。これは県全体のことでもありますが、出火防止、延焼防止、安全な避難の観点からの具体的な対策をこの重点推進地区から急いでとりまとめていくことになります。重点推進地区のある市町においては、それぞれ地震火災対策計画の策定を行っていただきますが、円滑に策定が進むように県として手順を示し、さまざまな形でバックアップすることになります。
 それを少しブレイクダウンして、出火防止、延焼防止、安全な避難に向けて、それぞれの個人の取組、さらには自主防災組織の取組等々、それぞれの段階で対策を行っていただくことが非常に重要になります。個人の段階では感震ブレーカーの設置をしていただくことがまず非常に重要ですし、また家具転倒防止、住宅等の耐震化を図るための取組も大事です。また、自主防災組織としての消火訓練、避難訓練を実施していただくとともに、要配慮者等の個別避難計画づくりをしていただくことも大事です。併せて、それぞれの地震火災対策計画を策定していただくことが大事になります。
 一言でいうと、津波についてはそれぞれ津波からの避難計画を作っていただいていますが、地震火災についても、地震火災を対処するための一群の計画をあらかじめそれぞれの地区で作っておいていただくことが大事だということです。初期消火に努めていただきながらも一定の段階以降は、避難することを考えていただかなければならないので、そもそも出火を起こさないようにするために、感震ブレーカーによって電気に起因する火災を起こさないようにするという計画づくりをし、併せて関連する機材を配置していく取組をすることになります。
今後はさらに地域地域において、街頭消火器を配置する、耐震性の防火水槽の整備をする、津波で言えば、津波避難タワーや避難路をつくるための関連資機材をそれぞれの地区に上手に配置していく、といったことを検討いただくことになると考えております。
 今回は、まず住民向けのリーフレットを作成し、併せてこの地震火災計画を作っていただくところに、簡易型の感震ブレーカーを無償でそれぞれのご自宅に配布をさせていただきます。中村地区が最初にこの計画を作っていますので、この地区に感震ブレーカーを配布するわけですが、そのために県が2分の1の補助、市町が2分の1の補助をしますので事実上、住民の皆様から見れば無償になります。今後、来年にかけてこの対策計画をさまざまな地区で策定していただくことになります。策定された所にこの感震ブレーカーをお配りすることを予定をしています。地震火災対策、いよいよ本格的にこの6月補正予算からスタートすることとなります。

(資料の6ページを示しながら)
 あったかふれあいセンターの機能強化についてですが、あったかふれあいセンターは、サテライトを入れて今はもう200を超えるネットワークが県内各地に張り巡らされようとしていますが、さらなる機能強化を図ることで高知型福祉の充実を図っていきたいと考えています。現在、集い、訪問、それから生活支援のための取組が行われています。これに加えて認知症カフェの機能や介護予防のための機能を持たせる。そしてこの介護予防の中にも、訪問・通所型のサービスを実施する拠点としての役割を今検討しております。
 それぞれ介護保険制度の見直しに合わせて、新たな財源として活用できるものが想定されますので、それを生かして取組を進めたいと考えております。ただ、今回の補正予算で対応するのは、あくまでも初期的な段階の話だと考えておりまして、例えば市町村の新しい総合事業の対象として、このあったかふれあいセンターを活用しようと考えるわけですが、まだまだスキルアップ研修を実施するなどの段階に留まっており、これより本格的な介護予防を行っていくためにどう取組を進めていくべきなのか、職員といわゆる専門職員の円滑な連携方法を考えたいと思っております。これは認知症カフェについても同じことが言えますが、まずこの1年間、特に先行的に取組を進められる市町村の皆さんと協働させていただいて、あったかふれあいセンターにおける介護予防の取組、そして認知症対応の取組の知見というものを蓄積していき、平成28年度からのより本格的な展開につなげていくことができればと考えております。
(資料の7ページを示しながら)
 最後ですが、再生可能エネルギーについてです。将来の原子力発電への依存度を引き下げていくためにも、再生可能エネルギーの導入をさらに進めていきたいと考えておりますが、その際にボトルネックとなるのが送電インフラの脆弱性です。さらには、需給バランスによっては出力制御される制度になっていますから、売電収入上、厳しい点があり得ます。この送電インフラの脆弱性の問題につきましては、引き続き国に政策提言をして対応を求めたいと考えております。これが解消されれば大きなボトルネックは解消されることになり、より多くの再生エネルギーを本県において導入できることになりますが、それまでの間においても地方としてできることがあると思っております。
 すなわち、エネルギーの地産地消という考え方であり、地域で電力ネットワークを構築して、できる限り地域内で消費する、そのためのコントロールをスマートグリッドシステムを使って行うことができないだろうかということです。これをいくつかモデル地区を選んで、実証研究を行いたいと考えています。送電インフラが本格的に強化されれば、さらに再生可能エネルギーの導入が本格的に進みます。そうでないとしても、地域地域で再生可能エネルギーの地産地消を効率良く使うことができれば、全体として再生エネルギー技術を増やすことができるのではないかと考えています。
 普通、電力の問題というのは大数の法則を効かすことによって安定供給を図ることが基本的な原理でありますが、それを一地域に限ると大数の法則が効きにくくなります。だから、その分をスマートグリッドの技術で補っていく発想になるわけです。そのために、いろいろと検証を重ねていきたいと考えており、県レベルでの取組としては、割と全国的にも先行的な取組ではないかと思っております。それだけに、ぜひ、こういう分野の取組の検討を進めていきたいと考えております。
 補正予算については、以上でございます。

「まるごと高知」の概要

(知事)
(資料2「まるごと高知レポートVOL.19」により説明)
(資料の1、2ページを示しながら)
 併せまして、冒頭もう1点、お配りしておりますのがまるごと高知リポートです。今回のリポートについては、平成26年度の総括を掲載させていただいております。1ページ目から全体としての総括を書いておりますが、2ページ目の下にその点を分かりやすくまとめております。
 いい点としては、外商の成約件数について4,393件ということであり、平成21年当時から約25倍以上ということになります。定番採用につきましても、2,420件まで伸びてきていまして、非常に外商の成果は上がってきていると思います。嬉しい点としては、テストマーケティングと催事へ参加した商品数を見ると、241商品と非常に数が伸びてきております。これは事業者の皆さま方の地産外商に挑戦しようという意欲の大きな現れではないかということで、すばらしいことだと思っておりますが、他方で来店者数を見ますと、75万、69万、64万とだんだん少ずつ減ってきています。アンテナショップを我々が建てた当時は、目立った存在だったかもしれませんが、他県も同じ様なことをだんだん始めて、近隣にも同様のお店が増えてきています。アンテナショップの集合体としての効果を発揮する一方で、個店としての魅力のさらなる向上も必要だと思っております。良い点と残念な点をよく分析して今後の地産外商活動に生かしたいと考えております。

(資料の3ページを示しながら)
 なお、3ページ目の右下のアンケート結果にありますように、今後の公社の外商活動についてですが、事業者の皆さま方から「大いに期待している」と「期待している」を合わせて約95%ということでありますから、このようなのご期待に応えていけるように、我々としても努力を重ねていきたいと考えております。
 冒頭、私からは以上であります。

南海トラフ地震対策

(遠藤:高知さんさんテレビ記者)
 私からは、南海トラフ地震対策についてお伺いします。
 先ほどの説明と一部重複する点があると思いますが、今回からこれまでの津波対策、揺れ対策に加えて地震火災対策に本格的に取り組んでいくということで、知事のお考えになるこの地震火災対策の重要性と、改めて、今回この地震火災対策に本格的に取り組んでいくことで、県の南海トラフ地震対策はどのような段階に入ったとお考えでしょうか。

(知事)
 命を守るステージについては、いよいよフルラインナップでの対応を進めていくことになったと考えております。津波対策という点では、山津波の対策も含めて、対策の強化を平成26、27年と図ってきておりますし、揺れ対策は息の長い課題でずっと続けてまいりました。ただ、この火災対策はまだ検討段階に留まっていて、本格対策をスタートする段階になっていなかったものですから、今回いよいよ、一部の地区からではありますが、重点的に対応しなければならないところに、具体的な計画を作って、命を守るための具体の対策を行うことになったということです。
 この火災対策、津波対策、揺れ対策をともにしっかりと進めていくことが大事であり、特に東日本大震災を受けて、本県として特に遅れていると感じたのは、津波対策でしたから、この数年間はそちらに全力投球をしてきたわけであります。実際、過去に起こった地震のタイプというのは、阪神・淡路であれば揺れによる死者が非常に多かった。そして、東日本大震災は津波による死者が非常に多かった。しかし、関東大震災においては地震火災による死者が非常に多かった。このような三者三様のタイプの地震災害というがあり得るわけです。ところが南海トラフ地震は、その三つが同時に発生するかもしれないほどの規模の災害が予想されており、三者とも備えていくことが大事だと考えてきました。
 そういうことでモデル地区を選び、現実に即した対策を検討してまいりましたが、今回は概ね考え方がまとまったことから、具体的な方策を併せて発表させていただきました。ただ、来年、再来年に向けてこの対策は強化していく必要があると思っています。特にこのような出火防止や消火のための具体的な対策については、さらに充実していく余地があると考えています。
 「地震が起きたら津波が起きる。だからすぐ逃げよう。」そういうことを徹底して意識啓発させていただいてまいりました。もう1個あります。「地震が起こったら火災が起こるかもしれません。」まず初期消火に努めていただき、一定時間が経ったら、安全な場所に逃げていただかないといけません。津波が来ない場所でも逃げることが必要な場合がありますから。その点を県民の皆さま方にしっかり啓発し、併せて具体の対策を講ずるようにしていきたいと思います。

高齢者の地方移住

(木田・時事通信記者)
 長寿県構想に関連してなんですけど、日本創成会議の高齢者地方移住については、どう評価されていますか。

(知事)
 創成会議のご議論というのは、一つのご見識と思っていますし、十把一絡げ【いろいろな種類のものを区別なしにひとまとめにして扱うこと】に良い悪いという問題ではなく、創成会議の提言は確かにそうせざるを得ないという側面もありますから、首都圏の高齢者の皆さまのお暮らしを首都圏だけでは支えきれないという側面もあるのも確かです。逆に言えば、地方はその状況をうまく生かせば、地方にとっても良い関係になっていきます。すなわち、ウィンウィンの関係になるように、工夫をしていくことが大事だと思っています。
 高齢者の方が移住してきてくださることによって、例えば、もういずれ移住するのなら少し若いうちから移住しようかという発想に、もしそうなっていただくとすれば我々にとって非常に歓迎すべきことです。また、そうではなくて相当高齢になられてから移住いただくことになったとしても、若い人の仕事が関連して生まれてくるという形でプラスになる側面あります。そもそも高齢者の皆さんが来ていただくことで、また社会としての構成が豊かになるということも考えられると思います。事は考えよう、物は生かしよう、智恵は出しようだと思います。私は創成会議の提言も踏まえていきながら、これを前向きに生かしていける策を考えていきたいと思っております。
 現実に、既に具体論として検討を始めている点があり、日本版CCRC【高齢者が自立して生活し、社会活動に参加し、必要に応じた介護や医療を受けながら暮らす仕組】を本県で先行的に導入していきたいと思っており、産学官民連携センターで、日本版CCRCの本県への導入について、チームを組んで検討を始めているところであります。そういう形で提言も生かし、具体化できるものがあれば、していきたいと思います。
 ただ一つだけ、ご提言をしっかり生かしていくために、国としていろんな基盤整備をしていただく必要がある部分もあると思います。例えば、さまざまな保険関係制度の住所地特例をどうするのかです。このほかにも議論をいただかなければならない点もあると思います。ぜひ、国としても、首都圏における超高齢社会到来問題は、日本全体で解決しなければならない問題と正面から見据え、そのための条件整備のためになすべきことの検討を速やかに始めていただきたいと思います。

(木田・時事通信記者)
 受け入れに関して、2025年時点で、高知県で受け入れの余力というのはあるとお考えですか。

(知事)
 マクロで見れば、受け入れの余力がないわけではないと思います。なぜかというと、2025年、2030年、2035年とかけて高知県の場合は高齢者の絶対数が減り始めるからです。今、施設がある中で、高齢者の絶対数が減っていくので、大きくマクロで計算すれば、この減っていく部分で一定受け入れる余力はあると考えられます。
 ただ、創成会議がいうように介護、急性期医療の余力について本当にレベル7もあるのか計算しました。特に高知市医療圏についてもっと詰めて考えなければならないと思います。高知市医療圏の人だけが高知市の急性期医療を利用すると考えれば、余力があるように見えるかもしれませんが、実際、高知市医療圏の急性期医療の資源は高知県全域の急性期医療になっているわけであり、それを鑑みたときに余力があると言えるのか。本当にレベル7の余力がありますか、という感じだと思います。
 だから、細かい試算結果については、もう一段詰めて検討しないといけないと思います。ただ、トータルとして社会全体として受け入れ余力が出てくるのかどうかについて言えば、そこは真っ先に高齢人口そのものも減り始める県として、考える余地は大いにある、むしろそう見なして前向きに生かす道を考えるべきだと思います。

地震火災対策

(海路・高知新聞記者)
 地震火災対策のことについてですが、今回、重点推進地区に対して感震ブレーカーを全戸に無料配布するという流れになっていると思いますが、恐らく重点推進地区に準ずるような住宅地というのは、他にもあると思います。今後、我々の所も補助して欲しいという所が出てくるかもしれませんが、将来的にそういった声があった場合、対応をされるのかということと、現時点でそういう整理をされているのかというところをお願いします。

(知事)
 簡易型の感震ブレーカーはご存じのようにかなり安価ですので、無償配布という割と思い切った対策を取ることができたわけであります。無償というのは、スタートアップの段階における啓発という意味も込めての無償対応を取っているわけでありますし、対策を加速したい、加速することで啓発したい、そういう意味もありますので、無償配布とさせていただいています。
 ですから、その完全無償という対応がいつまで続く、どこまでできるのかというのはやはりよく議論しないといけないと思います。ただ、いずれにしてもこの感震ブレーカーの普及を促進するために、県としてできるだけ民間の皆さん、県民の皆さま方を何らかの形でバックアップしていきたいと思っております。

(海路・高知新聞記者)
 将来的に、その無償の地区というものが広がるとは、今のところ考えてないのですか。

(知事)
 今の段階で無償配付を考えているのは、その重点推進地区です。この地区もたくさんありますので、まずは重点推進地区が第一ですが、その他の地区については、例えば有用性を啓発することから始まり、場合によっては少し応援させていただく、所得に応じて応援させていただくなど、といったことはあり得るかもしれないと思います。

(佐藤・朝日新聞記者)
 今の感震ブレーカーの対策について関連して、行政で補助をしている自治体というのは他にもあると思いますが、無償配付というのは全国においてどの程度珍しいのかというのが分かっておられたら、お願いします。

(知事)
 県レベルで感震ブレーカーを重点的に配付するというのは珍しいと思います。市区町村レベルはあると思いますが。地震火災についての避難計画を作り、対応しようとしていること自体は割と先駆的だと思っています。
県レベルで感震ブレーカーを配るのは初めてだということです。

(佐藤・朝日新聞記者)
 無償配付が初めてということですか。

(知事)
 県レベルで、無償というのは初めてだそうです。ご質問は感震ブレーカーに集中しておりますが、本当に大事なのは、地震火災対策計画で個別の避難計画を、津波避難計画のようにそれぞれの市町村で作っていただくことであると思います。火災の怖いところは、気がついたら周り全部が火でまかれたりすることもあるなど、割と早い段階で逃げなければいけない一方で、初期消火に努めていただきたいということもあり、津波対策とは異なるかなり複雑な検討をしなければならないところだと思います。また、要配慮者等の個別避難計画づくりも含めて対策を講じていくことが大事だと思います。
 この計画を作ってみて、ここに消火資機材を配置するのが一番有効というところが出てくるはずで、特に火災が拡がっていくポイントというようなところが幾つか出てくる。そういうところの消火が特に大事という議論になってくると思います。感震ブレーカーは通電したときに、火災を起こさないようにするための対策ですが、そもそも初期消火などいろいろとやらないといけないことは他にもたくさんあります。これを県レベルで全体として進めていこうというところが一番大事なことだと思います。

再生可能エネルギー

(遠藤:高知さんさんテレビ記者)
 今回補正予算の中に、再生可能エネルギーの地産地消システムの可能性の調査というのがありますが、改めて知事のエネルギー問題に対するお考えと、来週、四国電力の株主総会がありますが、知事のご出席の予定有無と県の対応についてお聞かせください。

(知事)
 今月25日に株主総会がありますが、私自身が出席することは物理的にできません。しかしながら、しかるべき職員を派遣し、県の考え方をしっかりと申し述べたいと思います。そのときの具体的な質問については、まだ検討中ですが、安全面における徹底、原子力発電所再稼動の必要性については、しっかりと説明を求めていきたいと考えています。
 それから、この再生可能エネルギーの導入比率を少しでも上げていくことを、日本全体で行っていかなければならないと思います。また、それが我々のような再生可能エネルギーの豊富な県にとっては、強みを生かす道だとも思っていますので、私たち自身ができることを実践していきたいと思っています。
 本格的に導入促進が進んでいくためには、この送電インフラの強化も非常に重要なことですが、国全体としての対応が必要です。その中において、我々が、自らの問題としてできることについて、普及促進を図っていくための取組を進めるための研究を進めようというのがこのスマートグリッドにかかる研究ということになります。自らできることを再生可能エネルギー普及のためにしっかり進めていきたいという思いでこの事業を導入させていただきました。

広域観光周遊ルート

(古宇田・日本経済新聞記者)
 観光庁から四国遍路が広域観光周遊ルートになることについて、2点お伺いいたします。まず1点目はそれを率直にどう受け止められているか。あともう1点、四国で考えると、他の3県は四国遍路だけではなくて、瀬戸内の対岸と一緒に行う別のルートもあります。そう考えると、どうしてもあの四国遍路のことを考えると大分高知県が中心になってやっていかないと、後の3県は他のルートがあるため、どうしても四国遍路が若干手薄になる可能性もあるかなと思います。その2点についてどう思われますか。

(知事)
 四国広域観光周遊ルートが大臣認定を受けたということは、率直に言って非常に嬉しいことであり、大歓迎だと思っています。外国人の観光客の皆さんにとっての第2、第3のデスティネーション(目的地)を探す場合に、物理的な視点で探すことも大事でありますが、併せて、その旅行の質、これも第2、第3のデスティネーションを探すポイントだと提言することも大事だと思います。
 この四国は、その両面に応えられると思います。あまり外国人観光客の皆さんが来ておられないので、新しい提案になります。もう一つは、有名な観光地を見て回るというタイプの観光というよりも、四国の場合は、お遍路さんを通じて培ったお接待の文化で多くの地域地域の日本国民の皆さんと触れ合っていただくような、そういう心の旅といいますか、こういうものをご提案することができる点で新しいデスティネーションになり得るものと思います。
これからの日本の外国人観光を伸ばしていくために、四国は両面において伸びしろのある地域だと思いますので、それをぜひ生かしていければと考えています。
 そして、四国の他の3県との関係で言いますと、もともと瀬戸内の周遊ルートということで計画の提案を予定されていたわけであり、四国の広域観光周遊ルートの計画というのは遅れて提案に向けた取組を始めさせていただいたものと思いますが、もし、その瀬戸内だけが通り(周遊ルートになり)、この四国の(周遊ルートの)提案をしてなければ、本県だけが関係ないということになりかねなかったと思います。我々としてもそれは残念で危機感も持っていましたし、また四国の他の3県の皆さんも大変協力的に、「それは四国で一体としてやっていこうじゃないか」と言っていただきましたので、我々としてもこの団結力を誇りにし、他の3県の皆さまにも感謝を申し上げたいと思っています。
 この四国4県一体となって外国人観光客誘致の取組を進めていくわけでありますから、まずはそこに大いに力を入れて行っていき、その心の旅をご提案する点について、しっかりと特性を生かした取組を追求していきたいと思います。それから、もう一つ、その大臣認定の範囲にかかわらず、観光というのは広域的に波及する効果を持つものですから、瀬戸内の取組の皆さま方と高知も連携させていただければと考えています。
外国人観光客の誘致促進という点においては、本県にとっては歴史的なエポックメイキング【ある事柄がその分野に新時代を開くほど意義をもっていること】になる事態だと思っており、大変にありがたいことだと思っています。

2期目の総括と次期知事選

(池・高知新聞記者)
 「対話と実行行脚」が先日、四万十市、大月町で県内の市町村全部終わり一巡ということですが、6月定例会の中で、知事は次期知事選について、その行脚の経過も踏まえて2期目の総括と次期知事選への対応について、どのような説明をされるおつもりでしょうか。

(知事)
 2期目の総括については、時期的にしっかりさせていただかなければならないと考えております。特に6月議会においてはこの2期を通じてどうであったのか、ということについてお話をさせていただき、そしてまた9月議会においては、その後高知県の政策としてはどうあるべきか、についてお話をさせていただく。私の提案説明としてはそういう方向になっていくかと考えております。
 3期目をどうするのかについては、まだ決めてないところであり、6月議会においてどう対応をするかを含めて未定だと考えています。

高レベル核廃棄物処理施設

(池・高知新聞記者)
 その3期目のことに関連してなんですけど、ツイッターで次の書き込みが今拡散しているので、これについて知事のご所見をお聞きしたいと思います。
「高知県尾﨑知事、11月に選挙、第3選で共産党まで対抗馬なく支持され確定したら、高知県内(第1候補黒潮町)に高レベル核廃棄物処理施設受け入れを即時発表するそうです」という内容です。
 根拠のない、はっきりしないものをいちいち取り上げるつもりはないのですが、これがここ数日で200数十人がリツイートをしており、フォロワー数で考えると数万人程度、見ていると思います。この書き込みについて、知事はご存じかどうか、それとどのように思われているかを教えてください。

(知事)
 そういう書き込みがあると教えていただき、県庁には電話もしくはメールで問い合わせもあったそうですから、私も存じ上げておりますけれども、一言で言うと全くの事実無根であり、あり得ない話でありますから、明確に否定させていただきたいと思います。

(池・高知新聞記者)
 高レベル放射性廃棄物について、東洋町の一件もありましたし、この第1候補というふうにこの方が書かれている黒潮町でも大分前だと思いますが、町民の一部が旧佐賀町時代に町議会にその誘致の陳情をして、それが不採択になったという経過があります。知事ご自身も就任直後の議会答弁や「対話と実行座談会」東洋町で行われたときに、誘致については否定的なご見解を示されていると思いますが、そのあたりのお考えは現在どうでしょうか。

(知事)
 本県は南海トラフ地震対策という大変な問題を抱えているわけです。黒潮町もそうです。34メートルの津波にどう立ち向かうのかという大問題を抱えて、みんな必死になって取組を進めている。決して豊かな県ではありませんが、その中において、この大問題にどう立ち向かうか、みんな必死に対応しているという状況です。東洋町しかり、すぐに津波が来るところです。その中でどう生き残っていけるのか、必死になって対策を考えている状況です。国レベルで放射性廃棄物処理施設をどこかに整備しなければならないという事情については分かりますが、本県のようにいろいろな問題、特に人命にかかわる問題を抱え必死に取組をしている県において、そういう余裕があるのかということです。
 そういう施設を受け入れて、安全に運営していけるだけの余力があるのかについては、私は否定的だと思っています。本県は最悪の場合4万2,000人もの死者が出るかもしれない南海トラフ地震対策に必死になって取組を進めている県であり、施設の安全性という点においても、さらには人命にかかわる余力という点においても私は受け入れる余地はないと考えています。

安保法制

(池・高知新聞記者)
 先日、衆議院の憲法審査会の地方公聴会が高知市で行われ、6人の意見陳述者のうちの1人として知事もご発言がありました。知事ご自身の陳述の中ではありませんでしたが質疑に答える形で、その安全保障関連法案の考え方について、知事ご自身は大筋で政府の方針を支持をするというご発言があったと思います。
 ちょっと前の参考人質疑で、学者3人ともが違憲であると仰ったということで、違憲論議がかなり活発になっていますし、地方公聴会の中でも6人のうち、少なくとも4人は間違いなく違憲だというふうに仰いました。もう1人の方も集団的自衛権の行使は認めながらも憲法には反するのではないかというスタンスだったと思います。
 そういう中で、知事ご自身が6分の1といいましょうか、お1人だけ違憲ではないと言いましょうか、その法案に対して支持するお立場であったので、非常にスタンスが際立っていたと思います。そういう中で、傍聴の方あるいはそのニュースを見られた方の中に、知事がどうしてあそこまで踏み込んであの場で発言する必要があったのかと。その知事のあの場での、目立ち具合と言いましょうか、それに対する違和感を感じた方もいますが、あの場でああいったお考えを質問に答える形とはいえ、知事の真意といいましょうか、そのあたりのお考えを改めてお聞きしたい。

(知事)
 今のご質問の意味がはっきりしないですが、6人中5人が反対で、1人だけ賛成だと目立つ、あえてそこまでする必要があるのかという意味でしょうか。

(池・高知新聞記者)
 いや、際立っていたから、余計にその法案に反対する方々の中には、知事のそのお考えを批判的に受け止める方がいらっしゃるということです。

(知事)
 「どうしてそんなに踏み込んでみたいな話になる」と、そういうことですか。

(池・高知新聞記者)
 ええ、批判を受けやすい、受け取られる方々によっては。

(知事)
 一言で言わせていただくと、従前から議会でもお答えしてきた考え方を述べさせていただいたのでありまして、今までも県議会において、例えば共産党の米田議員からのご質問に対して、この間の公聴会でお答えしたことと同旨のことをお答えしてきました。むしろ今まで議会で答弁してきた内容と違うことをお答えする方がおかしな話になったと思います。
 私は従前よりこの間公聴会でお答えしたことについては、議会でも、この記者会見の場でもお答えしていると思います。質問されたので従前からの考え方をお答えしたと思っています。

(中田・高知民報記者)
 今のお話の関連で、知事は具体的な個別の事例をよく審議する必要があるとよく仰っていると思いますが、今、安倍首相が一番念頭に置いているのがホルムズ海峡についてですが、それはその知事のおっしゃる旧3要件の範疇(はんちゅう)には入るということでしょうか。

(知事)
 個別の事例によく即して議論する必要があると思います。ホルムズ海峡だから十把一絡げに全部駄目とか、ホルムズ海峡なら十把一絡げに全部良いということにはならないと思います。大事なことは急迫不正の侵害があるかということ、他に手段がないかということ、そして必要最小限であるかということかと思います。ホルムズ海峡にしても急迫不正で他に手段がなく、必要最小限ということがあるかもしれません。しかしながら、近いところでも急迫不正がなく他に手段もあり、必要最小限を超えていることもあるかもしれないわけです。
 ですので、それぞれ行うことができるとされる法律において、実際に行うことが本当に憲法9条の精神に沿った、その3要件に満たしたものかどうかということについて、後々の一種の判例的拘束をもたらすためにも個別事例に則した議論をぜひ進めていただきたいと申し上げたいのであります。
 個別事例について議論するのかどうかについて、国会でも論戦になっているようですが、少し確かに安全保障上の限界があるのかもしれませんが、憲法9条をそもそもの念頭に置いてある考え方を満たしたかどうか、満たせるのかどうかをしっかり議論することも大事なことだと思います。一定の限界はあるかもしれませんが、できる限り具体例に則した議論をしてもらいたいと思います。

(中田・高知民報記者)
 その具体的な議論というのは、その法案ができた後の運用の際にですか。

(知事)
 今この法案ができると、例えばこの場合はどうなりますか、この場合は駄目だけどこの場合はいいですということになったときに、その考え方自体が旧3要件の範囲内に収まるものかということをまず考え、旧3要件から合理的、連続的に派生する範囲内にとどまるのかということを考え、それでは、それに限定されるような法律がしっかりなっているかということをもう1回議論する。そのような形の議論というのをぜひ積み重ねてもらいたいものだと思っており、ぜひお願いしたいです。

(佐藤・朝日新聞記者)
 公聴会でおっしゃった安保法案に対するご意見の中では、もはや自国のみでは国の存立は守れないというような政策的な必要性について、仰っておられたかと思いますが、その合憲性というところに関しては、例えば集団的自衛権の行使が必要だという方でも憲法改正が必要だという方もおられますが、その法案の合憲性に関してはどう受け止めておられますか。

(知事)
 これも先日申し上げたとおりですが、旧3要件が合憲の範囲内だと思います。ただ、旧3要件の急迫不正の侵害があることについて言えば、一定時代の条件に合わせて、その精神を損なわない範囲内で解釈の変更をする余地があると思っています。昔はわが国に対する急迫不正の侵害だけだったと思います。それは即ちわが国に対する物理的攻撃があった場合ということを念頭に置いていたと思いますが、しかしながら今の時代は、他国に対する物理的攻撃であったとしても、それが連鎖してすぐさまわが国に対する攻撃になるという事態もあり得ます。この最初の事態についても急迫不正の侵害と見なしてもよいということはあり得るのではないかと思います。
 これは即ち昔は想定してなかった科学技術の発達によって、昔ならわが国に対する直接的な攻撃のみが急迫不正の侵害と見られていたかもしれないが、今はその前段階として、他国に対する攻撃についても、わが国に対する急迫不正の侵害と見なし得る範囲もあるのではないかということです。その範囲内に収まるものであれば、一定憲法9条の精神を満たし、合憲と考えられるのではないかと思います。ただ、まだ抽象的な論理ですから、それが具体的にそのような精神が担保されるかどうかについて、個別的な事例にも則してよく議論してもらいたい、歯止めがしっかりかかるようにしてもらいたいと申し上げてきたということです。

(佐藤・朝日新聞記者)
 科学技術の進展と仰いますが、その具体的な事例というとどんなことでしょう。

(知事)
 日本を守るために例えば米艦がいます、そのときに米艦がいるから日本を攻撃できないということになりかねない。そのときにまず米艦に対して集中的に攻撃を加えていく。この米艦がやられたら、その後ある意味日本は丸裸状態になり、次は確実に日本に攻撃がやってくるという事態。この米艦に対する攻撃というのは防がなければならない。この米艦を守ることは即ち日本を守ることになる。例えばそういう事態があると思います。
 昔なら遠距離からピンポイントで攻撃することができなかった。そんなことはあまり考えられる時代ではなかった。艦隊を組み接近して戦う、もしくは遠方から飛行機が飛んできて攻撃するそういう時代だったかもしれませんが、今はピンポイントでミサイルで攻撃できる世の中になっています。だから、昔では考えられない攻撃対応、フォーメーションがあると思います。
そういうことも踏まえて、わが国に対する急迫不正の侵害となり得る事態というのはどういうことがあり得るかということをより現代の科学技術、現実論に則して議論をしていくことは、大事なことだと思っています。

地方交付税見直し

(木田・時事通信記者)
 総務省の地方交付税配分の見直しに関してなんですが、早ければ来年度から、民間委託や指定管理者制度を前提にして、基準財政需要額の単価を設定することも検討されているようですが、この点については高知県の実態に即してどういう評価をされますか。

(知事)
 行政の効率化を図るために努力をしっかりしていくことが大事だと思いますので、行政の効率化が民間委託のみではないとは思いますが、ただ、そうすることで行政の効率化を図れる分野もあるかもしれません。具体の手段については多様にあり得るものですので、認めてもらいたいと思いますが、行政の効率化をしっかり図ったところを評価するのであれば、一定合理的な考えではないかと思います。
 但し、あまり行きすぎてはいけない側面もあると思います。恣意的な政策展開によって配分される分野もあるかもしれませんが、それだけにとどまるものではなくて、むしろ大多数のものは地方固有の財源でありますから、そこの大原則を忘れないように対応していただきたいと思います。

(木田・時事通信記者)
 関係者の方にお話を伺っていても、都会の業者がたくさんいるところの論理では必ずしも委託先が見つけられず委託先がないとか、安全性の問題からあえて委託せず自前でやるという声も聞かれます。特に郡部の方ではそういう状況があるようですが、その点についてはどういう評価をされますか。

(知事)
 やはりケースバイケース、地域性がすごくありますので、そこを慎重に判断できるような、評価できるような仕組みにしていただく必要があると思います。今はまだ原則論の議論をしている段階ですから、原則論の議論としては十分と思える点がありますが、それを個別に制度設計していくときには地方固有の財源ということと、地域の特殊性、実情というものを踏まえたものにしてもらいたいと思います。

選挙制度改革

(遠藤:高知さんさんテレビ記者)
 参議院の選挙制度改革についてですが、先日、憲法審査会の中でも委員の方に1都道府県ごとの選挙権の重要性を説かれていましたが、一昨日、党首討論の中で安倍総理が維新の党の松野代表に、いわゆる維新ら4党が掲げた高知、徳島などを統合する案、維新など4党がまとめた案に対して非常に評価する声を発言されました。そのことでこれまで大分反発があった自民党内でもちょっと潮目が変わりそうな感じもしますが、総理の発言を受けて、知事のご感想と、今後徳島県や他県と連携して何か国に対してアクションを起こされる予定は何かあるのでしょうか。

(知事)
 今の段階でどうアクションを起こすのか、まだ対応を決めているわけではありませんが、二つの側面があると思います。
 一つ、現行憲法下において、違憲状態だと言われていることについては、対応しなければならないのは確かです。今の憲法を守らなければなりません。他方で、人口が多いところほど議員配分が多く、国の政策は人口の多いところに有利になり、結果人口集中がますます進むことでいいのかという対極的な判断もまた必要だと思います。
 その際、例えば参議院議員は都道府県代表にするなどの考え方もあり得ると思います。ただ、それは確かに現行憲法では成り立たないことです。ですから、そういうことについても、今後憲法審査会で議論するに当たっては憲法上の大きな論点として議論してもらいたいと、この間私は声を大きくして言いました。ただ、あまりそれについての質疑はありませんでした。最後に園田先生が質問されて、(参議院のあり方について)あえて質問されたわけではありませんが、その点をもう1回強調させてもらいました。
 現行憲法下でやむを得ないという話とそもそも論としての話、この二つを区別して議論する必要があると思っています。
 ただ、最高裁判決も受けての議論はいろいろと今後展開していくと思いますが、我々としては、その長として本来あるべき姿としてはこう思いますという声だけはしっかり上げていきたいと思います。そういう考え方も忘れてもらいたくありません。人口が多いところに議員が多ければそれでいいでは済まないところがあると今後も訴え続けていきたいと思います。

(司会)
 以上で知事会見を終わります。

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