令和5年12月11日 知事の記者発表

公開日 2023年12月13日

1 高知龍馬空港新ターミナルビル整備の意義とインバウンド観光振興への意気込みについて
2 2年連続で高知龍馬マラソンの参加者が想定を下回った背景と定員設定について
3 濵田県政2期目最初の12月県議会での各会派との向き合い方について
4 少子化対策における目標設定について①
5 少子化対策における目標設定について②
6 一次産業等における若い女性の就業者数の目標設定について
7 2年連続で高知龍馬マラソンの参加者が想定を下回ったことへの受け止めについて
8 観光振興策における龍馬マラソンにの活用について
9 県知事選挙・高知市長選挙期間中における知事の発言について①
10 県知事選挙・高知市長選挙期間中における知事の発言について②
11 12月補正予算のポイントについて
12 高知県中山間再興ビジョンの目標値について
13 ガソリン税に関するトリガー税の凍結解除について①
14 ガソリン税に関するトリガー税の凍結解除について②
 

R5.12月記者発表資料[PDF:2MB]

(司会)
 ただ今から、知事記者発表を始めさせていただきます。冒頭、知事から令和5年度12月補正予算の概要についてご説明があります。

(知事)
 それでは、まず私から令和5年度12月補正予算の概要につきまして、ご説明をさせていただきます。
 県議会の12月定例会ですが、明日12月12日に招集します。今回提出します議案は、予算案では令和5年度の一般会計補正予算案など予算議案が9件。条例その他議案が20件、合計29件を予定しています。以下、補正予算の概要について、簡単に説明させていただきます。
 今回、12月定例会に提案します補正予算の概要です。規模としては、307億円余りの歳出で、かなりの部分が5カ年の加速化対策公共事業の追加です。全体としまして国の総合経済対策が10月に策定されまして、先月、補正予算も成立しました。これを踏まえまして、物価高騰対策、事業者・生活者への支援策、その他合わせまして、先ほど申しました公共投資の追加を相当程度計上させていただいております。
 また、全体を通じまして、知事選挙でも訴えてまいりましたデジタル化・グリーン化・グローバル化の観点から、県政の進化を図るといった内容に対応する予算も、ある程度計上させていただいております。
 簡単に申しますと、まず原油価格、物価高騰対策についてです。20億円余りでして、内容的にはこれまで措置してきましたものの延長でしたり、積み増しが多うございますけれど、大きく分けまして、構造転換をして中長期的な効果を狙うものにつきまして、デジタル化の事業者支援、農林水産業におきます生産性向上、あるいは省エネ投資、これで産業の足腰を強くしていこうという中身のものです。
 もう一つは、当面物価高の影響が直撃しますので、その影響を緩和しようと軽減しようというものでして、医療施設、社会福祉施設、いわゆる公定価格で料金が決まっていて転嫁できないようなところ。私立学校、あるいは農業者といった支援、現実問題として転嫁が難しいといったところを中心に事業者支援をいたします。また、生活者向けには、LPガスの料金、あるいは特別高圧電力、これは事業者向けになりますけれども、事業者負担の軽減。これは今までやってまいりました政府の石油の価格、あるいは電気料金の対策が9月末までということでしたので、それに合わせまして、本県でも9月末まで、LPガスであったり特別高圧電力の対策、既に措置してまいっておりましたが、今回、国の経済対策で、これが延長するということに対応して、期間の延長を図るといった内容です。
 それから、5カ年加速化対策、これは防災・減災の5カ年加速化対策。この部分につきましても、今回の国の補正予算で措置をされましたので、本県で採択が見込まれる部分を中心に公共投資の追加といたしまして、256億円余りということです。
 そして、デジタル化・グリーン化・グローバル化の推進に関しては、事業者へのデジタル化の支援。特に太陽光の発電の設備の導入については、通常の当初予算の制度にさらに拡充をする形で、臨時的に後押しをしていこうといった中身を入れております。また、高知龍馬空港の新ターミナルビルの整備によりまして、国際線の受入体制を整えていくための設計費などを計上しています。
 予算の全体的な計数ですけれども、307億円余りで経済対策分が314億円、通常分は若干の減額といった中身になっております。歳入的には公共事業の追加が大半ですので、これに対応した国庫支出金であったり県債。それから、国庫支出金の中には、物価高騰対策の国の臨時交付金も、今回24億円ほど計上させていただいているという中身です。
 そして、一般財源の必要額につきましては、地方交付税も今回、国の補正予算に追加をされておりますので、そういったもの。それから、当初計上したもののゆとり分も合わせまして、今回計上させていただいているということで、一般財源は大半交付税を充当するという形にしております。
 歳出の性質別ですと、公共投資の追加が大半を占めておりますので、投資的経費が240億円ほど。そして経常的経費が62億円ほどの中で、人件費、給与につきましては、先に人事委員会から勧告が行われましたとおりに、人件費の改定をしていくことにいたしまして、必要額を計上させていただいているというような中身になっております。
 それぞれの対策事業につきまして、簡単にご説明申し上げます。
 まず、原油価格・物価高対策のうち、構造転換、中長期的に産業の足腰を強くしていくということを狙いとする部分です。
 まず、中小企業向けの支援としまして、デジタル化の促進のための経費3億円を計上いたしております。これは新規になっておりますけれども、昨年度類似の事業、同様の事業をやっておりますので、実質的には昨年度からの継続的なものとご理解いただきたいと思います。一般枠としては、中小零細企業が本当にベーシックな、例えば会計とか、勤怠管理とかそういったことをデジタル手法を入れていくという、例えばパッケージソフトを購入して導入するといった意味ですが、こういったものが一般枠。それから、もう少し高度なデジタル化ソフト枠、製品開発、ビジネスモデルの変革といった、より高度なデジタル化の取り組みを支援するもの。こういった2本立てで3億円余りを計上しております。
 そして、農林水産事業者の生産性向上、あるいは省エネ対策として、省エネ対策物。それから、環境負荷の軽減、これはグリーン化対応でもあります。そして、園芸用ハウスのリノベーション、新築ではなくてリノベーションでハウスを活用していくというものに対する支援。そして、林業関係は高性能な林業機械を入れて、省力化をしていくということ。そして、漁業関係も省エネの生産性向上といったものを図ろうとするもの。こういった設備投資などに関します支援を計上させていただいております。
 一方で、影響軽減に向けた対策も、当座の物価高で、いわば穴が開く部分について、これを補填しようというものです。大きく言いまして、電気料金等の高騰の支援。医療社会福祉施設、こういう施設は診療報酬とか介護報酬、こういったものは公定価格で料金が決められておりますから、電気料金が上がったといって転嫁をするということが難しい構造にあります。そういった措置が国によりされるまでの間、一定のルールでそれを補填しようというものです。私立学校の電気代についても趣旨は同様です。特別高圧電力、これは事業者向けの電力料金ですけれども、これが国の対策では対象外となっておりますので、これも従前、県のレベルでやりました対策を準用する形、踏襲する形で支援していこうという中身です。
 そして、燃油とか飼料等の購入経費の支援。これらにつきましては、基本的に今までの対策を農業者などについて行ってきておりますけれども、その見積もりのボリュームが、当初の想定よりも増加する見込みであるといったようなことに対応するもの。農業、そして漁業の関係。そして、新たに土佐和牛の肥育経営の体質強化のための事業費の委託料として、1,400万円ほど 計上させていただきました。LPガス、これも前回やったものに準じる形で算定いたしまして、LPガス料金の高騰対策、2カ月分相当ということで、3億6,600万円を計上させていただい ているという中身です。
 そして、大きな2番目の柱の公共投資の追加が256億円余りということです。この5カ年の加速化対策になりますけれども、これにつきまして、国の予算の今回の計上、本県は大体1.9%ぐ らいのシェアを見込んでおりますけれども、そうした中で、いわゆる四国8の字ネットワークなどの高規格道路整備、それから河川の改修整備、そして浦戸湾の3重防護などの港湾、海岸の 事業等々です。防災・減災国土強靭化のための公共投資の追加を行いまして、加速を図っていくという中身です。
 デジタル化・グリーン化・グローバル化、こういった流れに対応して県政を進化させる経費といたしまして、一つは事業者へのデジタル化支援、この点は先ほど申し上げた1点目でござい ます。
 2点目は、これは漁業におきまして、土佐清水市を予定していますが、メジカの市場の取り引きをスマート化する。自動計量したり、電子入札をしたりして取り引きを効率化をしようとい うものです。その経費を計上しています。
 それから、国際観光の推進といたしまして、これは例年の事業ですが、来年度クルーズ船の乗客のおもてなし用の経費が必要になってまいりますので、その契約を今年度中に行うために債 務負担行為を設定させていただく中身です。
 太陽光発電の導入促進につきまして、こちらの事業者は従前の枠組みとほぼ同様ですが、特に住宅用の太陽光設備の導入の支援に関しまして、例年、当初予算で行っておりますものより踏 み込みまして、単価も引き上げまして、市町村のいわゆる上乗せ補助を求めないで、県の補助金をそのまま右から左でも市町村はオーケーですよという形で、市町村がより予算計上をしやす いような形。
 今回、特に臨時交付金の財源が見込めますので、これを使って家庭用の太陽光発電も、この際、促進を図ろうということです。今回太陽光発電まで踏み込みました一つ大きな理由は、この 時期の補正予算ですので、国も一定程度繰り越しをすることを認めてもらえるであろうということを想定しまして、若干太陽光発電になりますと、家電の購入に比べると時間もかかりますの で、なかなかそういう見通しが立たないと予算計上が難しかったわけですが、今回、繰り越しもできそうだという情報に基づきまして、太陽光発電も当初予算よりも、より踏み込んだ形で支 援していこうというものを計上いたしております。
 グローバル化関連の予算として、高知空港の新ターミナルビル整備に必要な設計費等を計上しております。内容としては、海側にもう一つボーディング・ブリッジをつくりまして、既存の ビルの改修と含めまして海側に新しいビルを整備することにより、新しいボーディング・ブリッジの部分を内際共用、国際線はこちらでもっぱら、そして国際線を使わないときは国内線も使 える仕様で整備をして、いわば増築をしていこうというような中身になっております。
 全体で20億円弱の所要経費が見込まれておりますけれども、最近の台湾のチャーター便をご覧いただきましても、国際的な旅客需要というのは、相当程度、底堅いものが見込めるのではな いかという判断もございまして、この機会に、大阪・関西万博があります令和7年度には、共用が開始ができるような計画で整備をしていきたいということで提案させていただくことにしま した。
 その他の主な事業です。一つは、高知市との話し合いで方向が決まりました動物愛護センターの整備に関します調査費など。そして、介護サービス事業所のコロナ対策などの支援につきま して、これも従前から行われているものの追加的なものです。
 そして、県産米の消費拡大の委託料、これは新規になりますが5,000万円、高知県産米をいわば買い上げをするような形によりまして、観光客の皆さんに高知県の新米のキャンペーン、で  すので実際にやるのは来年、実際に消費者に届くのは来年秋ということになりますが、諸々の準備と、今回臨時交付金を財源として行いたいということで、予算計上させていただいております。県内の宿泊施設などで、観光客の方々に県産米をPRをして、消費拡大を図っていこうというような狙いの事業です。
 それから、龍馬マラソンの参加予定者、登録者が当初の見込みを下回ることによりまして、収支の不足が見込まれますので、その分の補填するための経費。
 それから、宿毛市の陸上競技場の整備に関しまして、9月補正では設計費を計上いたしましたが、今回は改修工事の本体分についての県の負担相当分を、債務負担行為で計上させていただくもの。
 それから、高知新港のコンテナ利用の促進のために、立ち上げ期につきまして、追加的な支援を、今回臨時交付金を活用して行いたいと思います。さらに、今、佐川町で進めておりますが、新たな産廃の管理型処分場の整備、こちらが地質が想定よりも脆弱であったことを踏まえまして、安定化の工事をする。あるいは昨今の資材の高騰などによりまして、事業費の上乗せが見込まれるということで、追加的に必要となります経費につきまして、債務負担行為の設定をお願いするもの。こういった内容になっております。
 最後に、指定管理者に対する県有施設の管理運営費の委託料、実際に執行しますのは令和6年度以降の部分についてですが、これらにつきまして、あらかじめ指定管理者との間で、契約を締結する手続きが必要ですので、今回、そのための債務負担行為の設定をお願いするものです。大体5年間ということで原則設定いたしますが、牧野植物園については「らんまん」の効果などもありまして、少し状況がある程度、見極めの期間も必要だろうということで、今回は3年間で暫定的に切った上で、少し恒久的に、どういったベースにしていくかということを検討していくという意味も含めて、3年間という設定にさせていただいています。
 以上が、予定をしております補正予算の内容でございます。よろしくお願いします。

(司会)
 それでは、各社からの質疑にうつります。質問をされる方は、社名とお名前の発言をしていただいてから質問をお願いいたします。

 高知龍馬空港新ターミナルビル整備の意義とインバウンド観光振興への意気込みについて
(井上・高知新聞社記者)
 3点お伺いしたいと思います。まず、1点目です。高知龍馬空港の国際線受入態勢の整備へ新ターミナルのビルの関連予算案が、今回はじめて補正予算、関連予算が盛り込まれたと思います。施設を増設する意義、それから、今後のインバウンド振興への意気込みをお聞かせください。

(知事)
 今回、龍馬空港の国際化ということで申しますと、今年の5月から台湾からの定期チャーター便が入って、当面来年3月末までということで、今、週2便の運航をしていただいているわけですが、搭乗率も9割を超えるような水準ということでして、大変好調であると。グローバル化というのは、今後の県政進化に向けた三つの柱のうち大きな一つでもありますから、その拠点となります龍馬空港につきまして、国際線の受入態勢については、タイガーエアーからも、より充実した整備を求められてきたということもございますし、先々、さらなる国際線の誘致ということも考えました場合には、よりしっかりした施設が必要であろうといったこともございまして、以前、コロナ前に想定をしてきたものよりは、事業規模を一定絞り込んだ形です。しかし、できるだけ早く実現したいということで、大阪・関西万博の行われます令和7年度に何とか間に合うようにということで今回一部増築、そして、既存ビルの改修も含めて、国際線の受け入れの整備を主眼とした施設整備をお願いしようという判断をいたしたところです。
 当面は、インバウンドの観光客、空港利用をされる方のことについて申しますと、まずは台湾です。台北との今チャーター便を定期便化していく努力をいろいろな経済需要、文化的な、あるいは教育的な旅行の需要の喚起も含めて進めていくことが最優先だと思っております。具体的に絞り込んだターゲットがあるというところまではいっておりませんけれども、アジア各国中心に、他の国際線も、例えば高松空港、松山空港などの例を見れば、可能性ではあり得るだろうという思いもございますので、そういったことも視野に、そのためのインフラとして、空港の整備というのを、ぜひ、急ぎ進めたいという思いです。

 2年連続で高知龍馬マラソンの参加者が想定を下回った背景と定員設定について
(井上・高知新聞社記者)
 2点目をお伺いします。高知龍馬マラソンの来年の参加申込者数が想定を下回って、開催経費の不足分を補填すると、この措置は2年連続になろうかと思います。今回、参加想定者数が下回る、いわゆる、定員を割れるような状況になった背景、あと、定員が12,000人という設定に対して、2年連続下回ったわけですけれども、この定員の設定自体についてのお考えもあればお聞かせください。

(知事)
 いずれも、もう少し、特に実行委員会の事務局で詳細な分析が必要な中味だとは思いますけれども、暫定的に今私自身が持っておる印象ということでお話をしますと、やはり、コロナ禍からの回復ということで、一般的な観光の需要は、コロナ禍前を上回るような形で戻ってきているという傾向がみられるわけですが、やはり、マラソンを走るとなると、それなりのトレーニングも半年とか、少なくとも数ヵ月前から必要だというようなお話も聞きますので、このマラソンを走るというところまで準備をして、需要が戻ってくるのは、一般の観光よりは、もう少し時間が必要だというような背景があるのではないかという推定を一つはいたしております。
 もちろん、ここ2年ほど連続して下回ってしまったということもありますので、来年度以降については、この時期に限らずですけれども、全国各地でこうした大規模な市民マラソンがいろいろ行われているわけでございますので、それらの市民マラソンにおきます参加者数の動向なども参考にしながら、必要な分析をして、一定程度、当面絞り込みが必要だという方向になれば、それはそれで、来年度以降の対応として検討したいと思います。

 濵田県政2期目最初の12月県議会での各会派との向き合い方について
(井上・高知新聞社記者)
 最後に3点目です。濵田知事が2期目を迎えられて、12月定例会が初めての議会になります。知事選の中では、対抗馬を擁立したような政党を念頭に対立するような発言もあったりしましたが、改めて今後の県議会、それから各政党、各会派との向き合い方についてのお考えをお聞かせください。

(知事)
 知事選挙は、いわば私自身の再選がかかる一つの戦いでしたので、そういった中である意味、これと構図として連動することになった、同日に行われた市長選挙でありましたり、時期的にかなり近接した参議院の補選でありましたり、そういったところにつきましては、構図の類似性というところもあり、私自身の選挙にも直接影響があることもあり、かなり踏み込んだ政治的な判断もさせていただいたということは事実です。
 これは、基本的にはそういった特殊な状況、今までにない状況の中での判断という要素が大変大きかったと思っております。常日頃の県行政の部分に関しましては、知事はもちろん政治家でもありますけれども、行政トップということですから、そういった意味で、できるだけ幅広い県民の皆さんのご支持をいただいて、施策の展開をしていく必要性から考えましても、少なくとも、いたずらに党派的、政治的な対立を県政の中に持ち込むことは、賢明な考え方ではないという思いは従前と変わりません。
 そうは言いましても選挙直後ですから、いろいろな余韻、波紋は残る部分はあるかと思いますけれども、それに対しましては、政策の中身の議論ごとに、その是非について議論させていただくといった、これも従前からのスタイルは、そういったものであったと思いますので、そういった基本に立ち返りまして対応していきたいと。
 ただ、時に、やはり政策の実現のためにも政治的な判断をしなければいけない場面は、一般論としてはあり得ると思いますので、そういう例外的な局面が、今こそそうだというような局面に、仮に将来的に陥ることがあれば、それは、その時点で適切な判断をしたいと。そういうことは留保しながら、しかし基本は、今や当然のことでありますけれど、当選をした以上は、県民の皆さん全体を代表すべき知事の職をお預かりするわけですから、その基本を大事に日々の判断をしていきたいと思っております。

 少子化対策における目標設定について①
(前川・毎日新聞社記者)
 今回の補正予算には、大きな項目として盛り込まれていませんでしたが、知事は、選挙戦でも少子化対策に力入れたいとおっしゃっていました。11月28日付けの高知新聞のインタビューで、今までは数値目標として出生率を中心に見ていて、女性の絶対数の減少には、目配りが足りなかったとおっしゃっています。これから、少子化対策を実現していくに向けて、これまでの数値目標、出生率の目標は置いといて、新たに女性の絶対数の減少、こちらの方を政策目標として重視されるようなお考えなのかどうか伺います。

(知事)
 お話の少子化対策に関しては、これはウエイトの置き方だと思います。最終的に出生数の増加を目指していくには、3つの要因があると思っています。一つはベースになる若者、特に女性の人数。二つが結婚、婚姻数を増やしていくということ。そして、三つ目が出生率です。一人の女性が生涯に産む子どもの人数。これを、それぞれ極大化していくことが、全体として出生数を増やしていくということになるだろうと。
 私自身、今回の議論を通じての反省点としては、本県の場合、出生率は、ここ10年の推移を見ると、国全体としてどんどん下がっている傾向の中で、ある程度持ちこたえていて、全国平均よりも出生率は0.1ポイント以上高いような状態が維持できていたと。この点で見れば少子化対策、本県の場合は、一定程度効果を上げてきたのではないかという思いがあったわけです。その点の評価というところを、どちらかと言いますと、ウエイトをかけていたがために、掛け算の母数になる若い女性の人数がかなりの勢いで減っていて、これは全国で見てもワースト4位ぐらいだと思いますが、高いスピードで若い女性の人数が減っているということについての目配りが、必ずしも十分ではなかったのではないかと。
 もちろん、若い女性に人気があるとされる事務職的なお仕事ですとかIT系の仕事、こういったものを誘致していくことを重点に対応し、また、実績も上げてきたという自負はありますけれども、やはり、全体的な数からするとそういう努力はどうしてもマージナルなものになってしまったと。今後は、そこの部分のウエイトを上げていかないといけないと。特に昨年の出生数が全国最下位になった最も大きな要因は、若い女性の人数の減少というところによるところは大きいので、そこの部分のウエイトをもっと上げていこうということです。
 ただ、出生率そのものが、今の1.36というような水準で満足すべきとは全然思っておりません。もちろん、経済的な負担軽減は国の施策などを踏まえてやっていくべき部分も多いわけですが、国、そして市町村とそこは連携をして出生率を上げていく、その努力は引き続きやっていくつもりです。

 少子化対策における目標設定について②
(前川・毎日新聞社記者)
 関連ですけれども、若い女性の流出数をいかに減らすか、何人までに抑えるかなど、5年後には何人ぐらいまでにしたいといった数値目標をつくられるようなお考えはありますか。

(知事)
 今のところ若い女性に特化してというところまでは、まだ考えておりませんが、選挙戦を通じましても若年人口、男性も含めて35歳未満の人口は、ずっと減少してきているのを、向こう4、5年のうちに、歯止めをかけたいというような形で、数値目標を掲げたいということは申し上げてきております。それをより具体化する作業は今後していきたいと思っております。

 一次産業等における若い女性の就業者数の目標設定について
(前川・毎日新聞社記者)
 最後に1点ですが、若い女性、中山間地域のベースになる1次産業や建設業でも雇用が増えるような、何らかの対策を打ちたいというお話もされていますけれども、具体的にこういうことをするとか、こういう目標を設定するということはありますか。

(知事)
 これは今、担当部局と侃々諤々(かんかんがくがく)議論中です。いろいろな多分、フェーズがあって、例えば建設業などは、私はデジタル化を進めるというのが一番大きなポイントになるのではないかと思いますけれども、一部の業種については、とにかく絶対数が少ない、かつ今までの取り組みの蓄積もあまりないので、実態把握というのでしょうか、ニーズ把握、そういったところから始めないといけないという業種もあろうかと思います。ある程度、実績があるところは、その実績がある部分をどういう形で伸ばしていければいいか。あるいは、その実績を上げるにあたって、どういう行政の支援が必要であったかということを、事業者の中からもヒアリングをして、それを県の施策として組み立てていくといったような努力をしていくのだろうと思っています。今議論中ということでご理解いただきたいと思います。

 2年連続で高知龍馬マラソンの参加者が想定を下回ったことへの受け止めについて
(古谷・読売新聞社記者)
 龍馬マラソンについて、もう少しお伺いします。今年、今のところが3,000人近くまだ定員に達していないという状況ですけれども、去年に続いて、いわゆる持ち出し部分が、2年連続追加になったということに対する知事の受け止め、それとあとスポーツ振興を訴えていらっしゃる中で、当然細かいところは実行委員会とも協議しながらになるのでしょうけれども、これだけ全国でマラソン大会、市民マラソン大会が増えている中で、どう高知龍馬マラソンの特色を出していきたいのか、今のところのお考えで結構です、お聞かせいただければと思います。

(知事)
 2年連続、当初設定した定員に応募が満たなかったことについては、残念な結果ではあると思います。ただ、やはり一定程度マラソンを走るということになると、そのための体のコンディションの準備なども必要だということはあろうかと思います。コロナ後の観光需要の回復という一般的な流れに、これが追い付いていくには、もう少し時間が必要ではないかと。そういう意味では、もう少し見極めの時間が欲しいという部分も正直ございます。
 ただ、そうはいいましても現実にこういった形で、かなりの、いわば欠員が出ているということ。全国的には市民マラソンもかなり増えてきていて、そういった中で、他のマラソンがどういう状況かというところも情報収集をしないといけない部分があろうかと思います。そういった情報収集もさせていただいた上で、やはり龍馬マラソンの場合は、2月の時期に南国高知で、高知の自然も満喫していただきながら、市民の温かいおもてなしの下に走れることが、恐らくはランナーの皆さんにとっては、好評を博してきていることだと思いますので、そういった強みといいますか、売りの部分をどう伸ばしていけるのか、またご理解いただけるのかというところを中心に、実行委員会でも議論をして、参加者の増を図っていきたいと思っております。

 観光振興策における龍馬マラソンにの活用について
(古谷・読売新聞社記者)
 追加ですけれども、当然観光との連携というのが大きな目的としてあると思うのですけれども、観光客が今増えている中に、何かうまく乗っていくというか、両方がうまくかみ合うような形にするような案、お考えはあるでしょうか。

(知事)
 今、具体的にこれといったアイディアがあるわけではありませんけれども、元々、2月の時期に市民マラソンを実施するというのは、観光の振興対策という側面もかなりあって取られている判断だと私は思います。そういった意味で、龍馬マラソンそのものを担当する文化生活・スポーツ部と観光振興部と、改めまして、今後の龍馬マラソンに関して、観光の要因をより厚くすることで参加の後押しにならないかということについて、何か具体策はないかという点は、連携をして検討させたいと思っております。

 県知事選挙・高知市長選挙期間中における知事の発言について①
(中田・高知民報記者)
 選挙中の発言についてお聞きいたします。先ほど、近い選挙だから政治判断をしたということでしたけれど、それは一定理解しますが、ただ、やはりその中で発せられた発言自体ですけれども、刃物の話とか、高知新聞のインタビューでは、殺すとか殺されるとかいう表現を繰り返し使われておりました。何といいますか、任侠映画といいますか。普通の政治家の、行政の方が使う言葉ではないと思います。
 もちろん選挙戦の中だったと思いますけれども、全県民を代表するとおっしゃられましたけれども、そういう立場の行政トップ、現職の候補として出られたわけで、その中でやはりそういう言葉が適切であったのかと、殺すというのは、抹殺するというか、存在を認めないということですので、それが共感と前進という、知事のモットーと矛盾するのではないかと思いませんでしょうか。

(知事)
 選挙期間中とはいえ、いささか過激な発言、表現ぶりではなかったかというお叱りをいただいていることは、これは虚心坦懐(きょしんたんかい)に受け止めたいと思います。ただ、選挙戦の中でございますので、有権者の皆さんに、より分かりやすく色々なことを説明しなければいけないということがございます。ご関心を持っていただくためには、多少、よく一般的に言われる言葉かもしれません、複雑なことかもしれませんが、できるだけ簡単に、そして、大胆に、あるいは極端な表現をして、耳目を引くという部分も全く否定されるべきではないだろうという思いもありまして、やや劇場掛かった表現を使った部分もあることは、ご理解をいただきたいと思います。
 ただ、そういうスタイルで、私は今後の行政をやろうというつもりは毛頭ありませんので、今申し上げたような政治的な局面の中で、共感と前進、大事にしたいということはありますけれども、今回お話あって改めて感じました時に、選挙というのは、ある意味、敵味方分かれて、多数派を形成するという一種の権力闘争ということもあります。そういった局面では、常日頃の平時における共感と前進という判断基準からすると、やや逸脱したと思われるような行動・言動が行われたという受け止めがあるかもしれませんけれども、それはある意味、多数派形成を旨とする、一種の民主主義の一つの副産物とご理解をいただきたいと思っています。

 県知事選挙・高知市長選挙期間中における知事の発言について②
(中田・高知民報記者)
 あと、もう1点です。昨今、暴力的な表現というのが、殺すであったり、刃物みたいな言葉は、例えばYouTubeやSNS等でも、そういう言葉使ったら、もうNGですと、暴力的表現はもう駄目ですという時代ですよね、最近は。だから、いわゆる比喩であったとしても、生命に関わるような話を軽々しく出すべきではないというのが今のスタンダードになってきていると思います。
 そういう中での言葉の選択ですから、政治家の言葉というのは、やはり非常に重みがあります。そこは今ちょっとやや合理化されたように聞こえましたけれども、今回の表現について再度、お考えを伺います。

(知事)
 ここは、やはりTPOをわきまえるということではないかと思います。いろいろな場面場面の中で、もちろん、子どもさんが大勢いるような中で、そういった表現を軽々に使うことは、当然慎むべきだと思います。今回はある陣営の、支援をする方の陣営の決起大会という、ある意味盛り上がりのある騒然とした中で、というようなこともあって、そうした判断を最終的にしたということです。当然TPOということはわきまえながら、しかし、選挙というのは、ある意味限られた定数1であれば、それを複数で争えば、やはり相手と差別化をして、どこが違うのかということを主張し、有権者の皆さんを説得して、多数派を形成しなければ、いわば権力を行使し得る立場にはなれないと、そういうある意味、厳しい局面があるというのは、これは事実は事実だと思いますので、TPOをわきまえた上で、今のご指摘はしっかりと肝に銘じたいと思います。

 12月補正予算のポイントについて
(奥村・NHK記者)
 先ほどのご説明と重複する部分があるかもしれないのですけれども、改めて今回の補正予算のポイント、どういったところに重きを置かれたのか、簡単にご説明いただけますか。

(知事)
 今回は、国の方で経済対策、そして補正予算が組まれまして、重点支援地方交付金については、本県の配分予定額としても35億円程度という枠も提示された中で、これを今の物価高の対策などについて、どう活用するのかという観点から検討させていただきました。そうした中で、今までもそうですけれども、当面、物価高の中で苦しまれている方々への影響の軽減ということに意を払うのはもちろんですけれども、一過性の支援にできるだけ終わらせないで、例えば省エネの対策、デジタル化の対策などのように、先々その効果が持続して、より将来的な物価高に対しても足腰が強い構造に転換をしていくことをできるだけ支援していきたい。そちらに目配りをしたいという思いで、補正予算の編成に当たらせていただいたところです。

 高知県中山間再興ビジョンの目標値について
(山﨑・高知新聞社記者)
 中山間地域再興ビジョンについて、少しお伺いします。先日アクションプランを盛り込んだ素案が示されました。その中で、4年後の数値目標も示されていたと思いますけれども、この数値目標の達成には住民の理解であるとか、共感というか、協働も不可欠だと思いますけれども、中山間の住民の中からは、かなり高いハードルに対しての抵抗といいますか、ちょっと難しいのではないかというような諦めの声も出てきています。そこを埋めていく、住民の理解を得る、共感をしていただくために、県として必要なことというのはどのようなことだとお考えでしょうか。

(知事)
 最終的に住民の皆さんにご理解いただくためにもそうでありますし、目標に向かって実現していくためにも、まずは市町村の皆さん、こちらの皆さんとはこの計画、ビジョンの策定過程の中で、何往復かやり取りをしております。いよいよ今後は、特に市町村で具体的に事業も組み立てていただいて、提案をいただく中で、県も新しい財政支援の制度の中で、それを後押ししていくというフェーズに入ってまいります。そういう過程で、特にまずは市町村の、職員の方を含めた市町村の皆さんと意見交換をして、いわば、気持ち合わせをしていくことが大事だろうと思っています。
 決してやさしい目標ではない。むしろ、かなりチャレンジングな、これが文字どおりできるのであれば、かなりばら色の未来も開けるぐらいの目標にはなっているのは事実だと思います。高い目標だからといっても今諦めてしまうということではなく、そこにどう近づけるのか。10が高い目標であっても、5でも6でも、まず、特に地域に若い人が入っていただくということを行っていくことが、いろいろなブレイクスルーを図っていく上で、私は肝になる部分ではないかと思います。そういう高い目標というところを、まずは出発点に議論をいただいて、ご理解いただきながら、成果は少しずつでもしっかり積み上げていくようにご理解もいただけるように、努力をしてまいりたいと思います。

 ガソリン税に関するトリガー税の凍結解除について①
(井上・高知新聞社記者)
 ガソリン税を一部減税するトリガー条項についてお伺いします。今回の国会の中で、与党と国民民主党含めてですけれども、トリガー条項の凍結解除を巡る協議がスタートするような流れになりました。以前から濵田知事は、トリガー条項の解除については、地方財政にも大きな影響があることや、政策効果にタイムラグがあったり、導入時期によっては駆け込み需要というような、市場が混乱するようなことも起き得るということで、あまり現実的ではないという発言を繰り返されてきました。今後、政府の協議を見ていくにあたって、地方からの要望というか、目線でお考えなどがあれば、お聞かせください。

(知事)
 ただ今ご指摘いただいたような基本的な考えは、私自身あまり変わっておりません。どちらかと言いますと、ある意味、政治的な意図もあって、トリガー条項の扱いについて、議論の俎上に載せられているという側面もあるのではないかなという風に拝見しております。最終的には、もちろん国の判断ということにはなりますけれども、地方財政にも大きな影響が与えられるということですし、私自身は、一番問題意識を感じているのは、税制というのは一旦動かすと、これは動かすにも法律の改正がいりますので、国会での審議、これに相当な労力も日時もかかるということです。相手は経済で生き物ですので、そこに法律を変えるということで、通常であれば、数年、少なくとも数年単位は、フィックスされるであろう税制というものを動かしていくということには、私は相当慎重であるべきではないかと。経済の対策は、やはり生き物である経済の対策であるからこそ、特に予算、歳出予算の方で機動的に対応することが、特に経済対策という局面からいえば、望ましいのではないかという意見は相変わらず持っているところです。

 ガソリン税に関するトリガー税の凍結解除について②
(井上・高知新聞社記者)
 ただ、現在続いている燃油の高騰というのが、いわゆる高止まりをしていて、あくまで経済は生き物であっても、この現状というのが長く続き得る、そして、今後下がる見込みというのも少ないのかなと思います。その辺りはどうお考えですか。

(知事)
 当面のいろいろな経済へのインパクト、打撃ということを考えると、おっしゃる点は分かるのですが、さらに中長期で見れば、やはり脱炭素化に進まないといけないというのが、大きな世界的な世の流れだと思います。その意味では、目の前のコストを下げたいということで、減税とか財政的な資金を入れていくということは、当面のいわば止血、出血を止める対策としては有効かもしれませんけれども、それが常態化をしていくということになると、却って脱炭素化を進めるという流れには、逆行するのでないかという側面もあると思っております。その点は、中長期はやはり電気自動車を入れていくというようなところも含めた脱炭素の動きの目標達成を図っていくことと矛盾しない形で、いろいろな経済対策をしていくと。そういう側面を考えましても、繰り返えしますが、税制ということで法律改正をしてしまうと、なかなか後で動かすのは、特に増税サイドに動かすというのは、相当なハードルが高いものになると思います。そういった中長期の脱炭素の要請というところも合わせて、判断がされるべきではないかと思っております。

 

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